思いがけない相乗効果「果物×スパイスのマリネ&ソルベ」
レスキューレシピ【スパイス編】
2025.10.14

text by Miki Numata
連載:レスキューレシピ
日本の食品ロス量は年間472万トン*と言われています。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための活用レシピをシェフに教わる連載「レスキューレシピ」。今月のテーマは【スパイス】です。今回は、果物と組み合わせたマリネやソルベを紹介します。
*農林水産省「食品ロス量(令和4年度)」(前年度比-51万トン)
目次
- ■教えてくれた人:料理研究家 _s_c_a_l_e_s_さん
- ■儚い瞬間を捕まえるか、長く余韻を味わうか
- ■「シャインマスカットのコリアンダーマリネ」の材料と作り方
- ■「メロンとカルダモンのソルベ」の材料と作り方
教えてくれた人:料理研究家 _s_c_a_l_e_s_さん
料理研究家。服飾デザインのキャリアを積み渡伊。そこで食に目覚める。帰国後、Instagramでレシピを公開。2018年「桃のアールグレイマリネ」が大人気となり、『果物のひと皿』『チーズのひと皿』『ハーブのひと皿』(エムディエヌコーポレーション刊)を上梓。
儚い瞬間を捕まえるか、長く余韻を味わうか
フルーツは食材としてとても面白く、そのまま食べるのはもちろん、何かと合わせることで違う顔を見せてくれます。スパイスともとてもよいパートナー。フルーツが持つ甘味や酸味、苦味といった味や香りの幅の広さとスパイスが合わさることで、相乗効果が生まれるので、季節ごとにいろいろトライして楽しんでいます。
組み合わせを考えるときにはヒントがいくつかあって、私なりのセオリーを持っています。まずは色。たとえば黄色いバナナとターメリック、緑のメロンとカルダモンというふうに、同じ系統の色を持つもの同士は仲がよい。味わいや香りのペアリングも大切。野菜のような青い香りのマスカットにはハーブの要素を持つコリアンダーを、甘くて刺激のあるパイナップルには、私はよくマスタードを合わせます。
調理方法は様々で、香りが重なる瞬間を楽しみたければサラダのようにさっと和えるだけで充分。撹拌してよく混ぜ合わせたり、一緒に煮込んだりすると、味と香りに一体感が生まれます。フルーツにスパイスの風味をしっかり入れたいときは時間をかけて漬け込むマリネやシロップに。花開くような香りを味わうには、揚げもののようにアツアツを食べる料理がおすすめです。
スパイスの量が多すぎたり、あまりいろんな種類を入れるとフルーツの持ち味が消えてしまうので気をつけて。
「シャインマスカットのコリアンダーマリネ」の材料と作り方
[材料](1皿分)
シャインマスカット・・・1/2房
コリアンダーパウダー・・・小さじ1
ブラックペッパー(挽く)・・・少量
ハチミツ・・・大さじ2
[作り方]
[1]半分に切る
シャインマスカットは1粒を縦に2等分する。
[2]和えて冷やす
コリアンダー、ブラックペッパーをまぶし、ハチミツを加えて軽く和え、1時間ほど冷蔵庫で冷やす。

青っぽい香りの素材同士の組み合わせ。コショウでアクセントを利かせると、白ワインとの相性も抜群。
「メロンとカルダモンのソルベ」の材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
メロン(赤肉/青肉共に可)・・・1/2個
ミント(ちぎる)・・・適量
カルダモンパウダー・・・小さじ1
メープルシロップ(またはハチミツ)・・・大さじ2
白ワイン・・・大さじ2
[作り方]
[1]メロンを凍らせる
メロンは3㎝角に切り、重ならないようポリ袋などに入れて冷凍庫で一晩凍らせる。
[2]撹拌する
1と残りの材料をブレンダーで撹拌する。
[3]再度凍らせる
蓋付きの容器に入れ、冷凍庫で1時間程度凍らせる。

メロンとカルダモンは互いを深め合う最高の関係性。スパイス、ハーブ、フルーツが三位一体となり爽やかにまとまっている。凍らせて混ぜるだけで上質なデザートが完成。
(雑誌『料理通信』2020年10・11月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
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