ほのかな香りで疲れを癒す「キノコと野菜のスパイススープ」
プラントベースの始め方57
2025.12.15
photographs by Tsunenori Yamashita
連載:プラントベースの始め方
健康や環境への配慮から、植物性の食材を主体とする“プラントベース(Plant Based)”な食事法が注目されています。肉や魚や乳製品に頼らずとも「おいしい」料理を作る知恵は、世界各地に存在します。身近なレシピからおいしくプラントベースを始めるヒントを紹介します。
目次
- ■教えてくれた人:山形・大石田町「調香菜Umui」高橋恵美子さん
- ■刺激は求めず体に心地いいスパイスを
- ■Umui流スパイス使いのツボ
- ■「キノコと野菜のスパイススープ」材料と作り方
- ■山形・大石田町「調香菜Umui」の店舗情報
教えてくれた人:山形・大石田町「調香菜Umui」高橋恵美子さん
2011年に東京・池尻でカフェ「umui」をオープン。2014年に家族と共に山形へ移住。現地の伝承野菜をふんだんに使った「ごはん屋umui」として店舗を持たずに活動した後、2018年、廃校になった小学校校舎で予約制のカフェ「調香菜Umui」をオープン。野菜をふんだんに使った料理を提供し、ケータリングも行っている。
刺激は求めず体に心地いいスパイスを
器からはみ出すほど盛り付けられる野菜惣菜の数々は、食べたい人に食べてほしいだけ、という彼女の想いそのものだ。
じゃあ、スパイスも気前よくガンガン加える?「いいえ、スープは体を休め、ほっとさせる料理と考えています。だから、体を温めたり疲れを和らげたり、体に心地いいスパイスを組み合わせて、ほんのり香るくらいに仕上げます」。
「キノコと野菜のスパイススープ」は、クミンやフェヌグリークに加え、ブラウンマスタードシードのほの辛さを冬野菜に合わせている。野菜と同時に加えて炒め、野菜の水分と馴染ませる。アクセントにはヒングをひとふり。
シンプルな味わいの中に僅かに引っかかるクミンとヒングの香りに癒される。
Umui流スパイス使いのツボ
1.控えめな分量で
汁物に使うスパイスは刺激より、体を温めるリラックス効果を重視して入れすぎない。好みで足していく程度に。
2.早めに塩をふる
塩は調味ではなく、野菜の水分を引き出すために早めにふる。甘味が出たスープにはわずかなスパイスがアクセントに。
3.スパイスは野菜と炒める
最初にスパイスだけで炒め油に香りを移す使い方もあるが、今回はほんのり効かせるために炒める段階で一緒に投入する。
「キノコと野菜のスパイススープ」材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
マイタケ、エリンギ・・・各40g
タマネギ(皮を剥く)・・・70g
カリフラワー・・・80g
サヤインゲン・・・3本
ニンジン・・・15g
E.V.オリーブ油・・・少量
塩・・・ひとつまみ
ショウガ(みじん切り)・・・10g
乾燥紅豆(一晩浸水して戻し、茹でる)・・・5g
A
ブランウンマスタード、フェヌグリーク・・・各1g
クミン・・・2g
昆布(なくても可)・・・1枚2㎝×5㎝
ヒング(インドのスパイス)・・・好みで
[作り方]
[1]野菜を切る①
キノコ類は石づきを取り、食べやすい大きさに切る。タマネギはスライス、カリフラワーは小房に分ける。
[2]野菜を切る②
サヤインゲンは4等分に切る。ニンジンは皮ごとせん切りに。
[3]タマネギを炒める
鍋にE.V.オリーブ油を引き、タマネギを入れて中火で炒める。【POINT】早めに塩を振ることで、水分(野菜の旨味)を出しやすくする。
[4]塩、スパイスを加える
すぐに塩をふり、さらに炒める。ショウガとAを加える。
[5]キノコを炒める
スパイスの香りがほんのり立ってきたらキノコ類を加える。
[6]紅豆を加える
キノコがしんなりするまで炒め、水分が出てきたら、紅豆を茹で汁ごと加える。【POINT】昆布を入れる場合はここで加える。
[7]煮込む
[8]味を調える
ヒングをふって軽く混ぜ、塩(分量外)で味を調える。
カリフラワーとキノコ類をゴロゴロ煮込んだスープは汁が見えないほど具だくさん。スパイスは体を温めるフェヌグリークやクミンを少々忍ばせ、湯気と一緒にほんのり香る程度に。山形産の紅豆も一緒に煮込んでだしに貢献。
(雑誌『料理通信』2016年12月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)
山形・大石田町「調香菜Umui」の店舗情報
◎調香菜Umui(ウムイ)
山形県北村山郡大石田町次年子1205
☎080-4208-5525
土曜、日曜、祝日11:45~、月曜12:00~※完全予約制
火曜~金曜休
JR大石田駅よりタクシーで18分
Instagram:@umui96
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
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