日本 [新潟]
注目のオーベルジュ「トラヴィーニュ」が伝える「越後姫」の魅力
2020.03.06
佐藤龍シェフ。1988年生まれ。調理師学校を卒業後、都内ホテル、レストラン勤務を経て、2016年新潟「カーブドッチ」へ。ワイン造りに携わり、その後ブルゴーニュで1年修業。18年、新潟へ移住。現職に。
果皮と果肉が軟らかくデリケートなため、現在も県内消費がメインの「越後姫」。新潟のカーブドッチワイナリーにあるレストラン「トラヴィーニュ」の佐藤龍シェフも、移住して初めてその存在を知りました。
県内消費がメインの理由
流通に耐えられるよう改良が重ねられ、ちょっとやそっとでは傷つかないたくましさと長続きする美貌を手に入れた日本のイチゴ。しかし、強さと引きかえに、軟らかな食感を持つイチゴに出会える機会は減ってしまった。
新潟県のイチゴ栽培面積のほとんどを占める「越後姫」は、果皮と果肉が軟らかくデリケートなため、今も県内での消費がメイン。輸送に耐える強さより、味優先で栽培してきた結果、イチゴ本来の軟らかさが今も自然に残っている。
昨年、オーベルジュとしての営業が始まったワイナリーレストラン「トラヴィーニュ」の佐藤龍シェフは、2018年、東京から新潟へ移住。ここで初めて「越後姫」を知った。
「皮が軟らかで、やさしいテクスチャー。香りもチャーミングで、名前の通り、お姫様のようにおしとやかなイチゴです」。これまで食べてきたイチゴがやや“マッチョ系”だったことに「越後姫」を食べて気がついたという。
シェフと「越後姫」の栽培現場へ
県内向けに栽培する農家が多いなか、新潟市から車で40分ほどの新発田(しばた)市に、東京へ出荷する産地があると聞き、生産者の一人、鈴木美香さんのハウスを訪れた。中に入ると想像していたイチゴ畑と違い、胸の高さに葉が茂り、イチゴが鈴なりにぶらさがっていた。
「夏に苗を育て、ハウスに植え付けるのは10月頭。植えつけて1カ月を過ぎると最初の芽が伸びて花が咲き、ハチが受粉を助けて、2カ月後には最初のイチゴが収穫できます」
鈴木さんのハウスでも1月の半ばから収穫が始まっていた。
「一番気を付けているのは換気です。湿度が高くなると、傷みにつながるので、こまめにチェックして、外気を入れて調整します」
収穫期がスタートすると、6月までイチゴ中心の生活が続く。天候がよくなると一気に赤くなるため収穫は待ったなし。不要な接触は傷みの原因になるので、どんなに急いでいても、作業には細心の注意を払わなければならない。
「指で先端を触って、少しでもくにゅっと動くようなら、もう出荷できないんです」と鈴木さん。佐藤シェフは「見た目からは全然わからない」と驚きながら、一口頬張ると、「このまま食べたほうが、やっぱり一番おいしい!」と本音をポロリ。
とはいえ、瞬間を味わうレストランデザートにこそ、「越後姫」が持つやさしい甘味、香り、軟らかな食感は生かされるに違いない。
メニューオン決定!
3月6日(金)~4月5日(日)まで今回ご紹介したデザートが期間中「トラヴィーニュ」に登場。ランチとディナーの両方でお楽しみいただけます。ランチコース2500円~にプラス料金でオーダー可、ディナー8000円、15000円のコース内に含まれます。(すべて税別)
※ランチとディナーではポーションが異なります。写真はディナーのポーションです。
◎ トラヴィーニュ
新潟県新潟市西蒲区角田浜1661
☎ 0256-77-2811
11:30~14:30LO、18:00~19:30LO
JR新潟駅より無料シャトルバスで50分
東京でも同時開催!
カーブドッチワイナリー内のレストランを監修する掛川哲司シェフのレストランでも越後姫を使ったデザートがお選びいただけます。コース1万円、アラカルト1500円(共に税別)※デザートはau decoオリジナルでトラヴィーニュとは異なります。
◎ au decoオデコ
東京都渋谷区恵比寿2-23-3
☎ 050-5456-0546
18:00~23:00 日曜休
東京メトロ広尾駅より徒歩5分
◎ 新潟県農林水産部 食品・流通課
☎ 025-280-5305