触らないから生まれる味
「霜降りひらたけのソテー」
アウトドアレシピ03
2021.11.18
photographs by Masahiro Goda
連載:アウトドアレシピ
同じ料理でも、屋内で食べる味とまったく違って感じられるのが、アウトドアグルメの魅力。現地の産直市や地元スーパーで調達した食材を使って、季節のおいしさをまるごと味わえるのもアウトドアの醍醐味です。今回のレシピはフライパン一つ、包丁いらずのレシピ。エノキで作ってもおいしい。
教えてくれたシェフ
東京・恵比寿「ワインの樹」佐久間奈都子さん
触らない、ガマンするだけでおいしくなる
プルロット茸で作り始めた料理ですが、霜降りひらたけでもおいしくできることを発見。弱火でキノコの水分が飛ぶのを待つ。決して触らず、ひっくり返すのは1回だけ。こうすることで“炒めもの”にならず、カリカリに焼けた部分にはチーズのような旨味が出ます。エノキでもおいしく作れますよ。
私はもともとサービス畑で、店を開く前はリストランテでカメリエーラとして働いていました。だからレシピで覚えた料理はなく、素材を見て、触って、考えながら作っています。食べる人を思いながら、必要な手間をかければ、あとは時間がおいしくしてくれる。野菜は「ほったらかし料理」が基本ですが、目と耳と鼻を動かし、いじり過ぎないことでおいしくなる味を探って作っています。
「霜降りひらたけのソテー」材料と作り方
【材料】
霜降りひらたけ・・・1 パック(エノキでも可)
オリーブ油・・・適量
塩・・・適量
【1】冷たいフライパンに並べる
ヒラタケを手で裂き、テフロン加工のフライパンにぎっしり並べる。
※鉄のフライパンを使う場合は最初に薄く油をひく
【2】オリーブ油で塩をのせる
オリーブ油を回しかけてから、塩を1本1本にあてるようにふる。オリーブ油はヒラタケに塩をくっつけるためなので、少量でOK。
【3】弱火で、触らず水分を飛ばす
弱火にかけ、ひたすらキノコの水分が出て飛ぶのを待つ。触ると炒めものになってしまう。
【4】ひっくり返すのは1回。
キノコから出てくる水分の音が弱くなったら裏返す。もう片面も色づいたら器に盛る。
【5】完成。
【このレシピのPOINT】
キノコから出る水分の音に耳を傾け、一回だけ裏返す。他の作業を同時進行しながらも、五感を働かせて見守ることが大事。
◎ワインの樹
東京都渋谷区東2-15-2
☎070-8520-6204
18:00~25:00(24:00LO)
土曜、日曜休
JR、東京メトロ恵比寿駅より徒歩8分
Instagram:@_winenoki_
Facebook:Wainnoki
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため要請に合わせて営業時間が変わることがあります。
(雑誌『料理通信』2020年7月・8月合併号、2018年3月号掲載)