自然とお酒に手が伸びるつまみ、「野菜の昆布締め」
フェーズフリーな食材レシピ:昆布
2022.03.24
photographs by Hide Urabe
乾物や漬物など、常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価も高い食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段から食事に取り入れ、使い慣れることで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリー*な食材を、おいしく活用するレシピを教わります。
常備したい食材:昆布
教えてくれたシェフ:東京・学芸大学「あめつち」土井美穂さん
「あめつち」店主。鎌倉「なると屋+典座」を経て2013年に現店を開店。旬の野菜を中心に、豆、乾物などを使った家庭料理とそれに寄り添う、昔ながらの手法で丁寧に作られている小さな酒蔵の純米酒を中心に揃える。『ミシュランガイド東京 2022』にビブグルマンとして掲載。
茹でた野菜を昆布で挟むだけ
「あめつち」のつまみは鰹節と昆布だしがベース。土井さんが「時々、お浸しに飽きた時に作る」のが野菜の昆布締め。茹でた野菜を昆布で挟むだけのシンプルさだが、ひと手間の違いは大きい。「茹でただけ、塩だけより、味の余韻が長くなり、舌も体もほっとする味に」。自然とお酒にも手が伸びる。
昆布は産地や種類によって形状や硬さ、味の出方も様々。杓子定規にならず、都度、旨味の出方を自分の舌で見極める習慣をつけたい。
「あめつち」の野菜の昆布締め 材料と作り方
[材料](作りやすい分量)
グリーンアスパラガス(細め)・・・6本
絹さや・・・20枚
昆布(12㎝×12㎝)・・・3枚
酒・・・少量
[作り方]
[1]野菜の下ごしらえ
アスパラガスは切り口が硬ければ切り落とし、下のほうが筋っぽい場合は薄く皮をむく。4cmの長さに切る。絹さやはへたと筋を取り除く。
[2]野菜を茹でる
鍋に湯を沸かして塩を加える(湯3カップに対して塩約6g)。アスパラガスと絹さやをそれぞれ茹でる。氷水に取り、ざるに上げて水気を拭きとる。
[3]昆布を湿らせる
少量の酒を含ませた布で昆布の表面を軽く拭いて湿らせる。
POINT:野菜の水分でもやわらかくなるが、先に少量の酒で湿らせておくと早く染み込む。
[4]野菜を並べる
ラップに昆布を1枚のせてアスパラガスを並べ、昆布をのせる。
POINT:食べるサイズに切って、昆布の面を無駄なく使い、野菜をきれいに敷きつめる。
[5]3時間おく
そのうえに絹さやを並べ、昆布をのせる。ラップで包み、3時間おく。
POINT:昆布の種類や野菜によって締める時間が変わる。今回は、真昆布と細めの野菜で3時間。
茹でた野菜に昆布の旨味を染み込ませるだけ。香りも味わいも一段とやわらかくなり、日本酒とも好相性に。今回は昆布締め用の平らな真昆布を使用。昆布は2回使える。
◎あめつち
東京都目黒区中町1-35-7
☎03-3712-1806
平日18:00~22:00LO
土曜、日曜、祝日17:00~21:00LO
月曜、第2、4火曜休(祝日は不定休)
東急線学芸大学駅より徒歩12分
http://www.ame-tsuchi.com/
※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。
(雑誌『料理通信』2019年7月号掲載)
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