日本 [山梨]
日本が誇るブドウ王国
在来種を守ることと新品種への挑戦が未来をつくる
2016.06.25
歴史ロマンも一緒に味わって
「甲州」(ブドウ)
ワイン用ブドウとして有名な「甲州」。ヨーロッパが起源とされ、シルクロードを渡って中国から伝来したと言われています。山梨県では、江戸時代中期頃から、市場性のある換金作物として栽培されてきました。
「甲州」の発見には「行基説」と「雨宮勘解由(あめみやかげゆ)説」の2説が有力とされています。行基説とは、奈良時代に高僧・行基が修業中、夢枕に立った“右手にブドウを持つ薬師如来”の姿を木彫りにして、(現在の)柏尾山大善寺に安置したところ、ブドウの樹を発見。これを育てた後、村人にも広まり、「甲州」となった説です。
雨宮勘解説とは、鎌倉時代に甲州市勝沼の雨宮勘解由が自生の山ブドウと異なる蔓植物を見つけ、結実に至った説、とされています。いずれの説も歴史が古く、山梨県では古から親しまれてきた様子が窺えます。
漆黒の大粒品種
「甲斐のくろまる」(ブドウ)
一方、山梨オリジナルの新品種「甲斐のくろまる」。山梨県果樹試験場で、「ピオーネ」と「山梨46 号(巨峰自殖)」を交雑・育成し、平成25 年に品種登録された黒系早生品種です。その名の通り、まんまる大粒の果実がたわわに実ります。
果肉から皮が剥がれやすく、「巨峰」のようにそのまま食べやすく、酸味(渋味)が少なく、糖度は18度と甘い果汁が特徴です。
出荷は「巨峰」よりも早め。今後、樹の成木化に伴い、出荷量が増加する見込みです。山梨の新時代を担う、ルーキーとしての活躍が期待されています。