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JOURNAL / 世界の食トレンド

America & Ukraine [Buffalo & Kyiv]

ウクライナ・クラフトビールで草の根人道支援プロジェクト

2022.06.16

text by Kuniko Yasutake / photograph by Resolve Ukraine Beer

 “ウクライナの自由を誓う”というメッセージを込めたクラフトビール「リゾルブ(Resolve)」を介し、キーウとNY州バッファローの醸造仲間による人道支援の輪が拡がっている。


消費者の社会貢献や意識改革を目的として、オープンソース・クラフトビール・プロジェクトが複数誕生している米国。各団体の運動に加勢したい醸造所に無料でレシピを公開し、同じラベルと商品名で販売したビールの売り上げから支援金を集める、分散型共同援助のかたちを取る。企画立ち上げから3カ月で、欧州8カ国、米国13州にある36の醸造所がその呼びかけに応じ、同じ商品を製造販売(2022年6月時点)。現在もさらなる賛同者を募っている。

「リゾルブ」が公開しているレシピは2つ。米国でクラフトビール製造を学び、現在はウクライナ国内で戦火を逃れているナズ・ドレボット氏が開発したレシピと、かつて彼に醸造技術を教えた米国人ジョン・キンパマン氏による、ウクライナ国外でも調達できる原料を使用したレシピだ。これらのレシピは賛同者が造りやすいよう改良することも奨励している。クラフトビール愛好家のレビューを掲載するサイトでは、「清々しい」「爽やかな飲み口」と好評だ。

プロジェクト参画を簡略化するため、ウェブサイトではマーケティングに使用できるデジタルイメージや、缶印刷用のカスタマイズ可能な図案も無料配布している。参加醸造所リストも掲載することで、ウクライナとの連帯感を表し、人々を勇気づけることが主催者のねらいだ。

(写真)ウクライナ国旗の色と国花ヒマワリを配した缶デザイン。サイト上では、寄付金の送付先としてウクライナ国内と周辺地域で人道活動を行う非営利団体2つを紹介している。さらに、賛同者自ら支援団体を選ぶこともできるので、日本から参加し日本円で寄付することも可能だ。



◎Resolve Ukraine Beer
賛同者はサイト上のフォームで醸造支援を報告する
https://www.resolveukrainebeer.com/

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