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JOURNAL / 世界の食トレンド

Germany [Berlin]

ドイツ初のアルコールフリー専門店「ヌル・プロセント(0%)」

2021.10.18

German [Berlin] ドイツ初のアルコールフリー専門店「ヌル・プロセント(0%)」

text by Hideko Kawachi / photograph by Emmanuele Contini

今、ドイツのスピリッツ&ワイン業界の一大トレンドといえば“アルコールフリー”。2021年2月には、ドイツ初のアルコールフリー専門店「ヌル・プロセント(0%)」がベルリンにオープンして人気を呼んでいる。

この流行にはコロナ禍のロックダウンが大きく影響していると、店のオーナーの1人、カチャ・カウフさんは言う。「孤独やストレスから、自宅で飲むアルコールの量が増えてしまったので、アルコールフリーに切り替えたいとお客さんに相談を受けることが多いですね」。

店内にはドイツのワインや欧州各国のクラフトスピリッツを中心に、約200種類のアルコールフリー飲料が所狭しと並ぶ。実店舗でここまで充実している店はドイツでも類がない。アルコールフリー飲料は未知の分野なので、対面での詳細な説明やアドバイスが欠かせないそうだ。例えば、ボタニカルの香りや風味を運ぶ役割を果たすアルコール分が含まれていないノンアルコールスピリッツは、それ自体はパンチが強くない。水割りでは物足りないため、簡単なカクテルや相性のよいトニックウォーターなどを提案する。

他にも、2020年から取り組むワイナリーが増えているノンアルコールワインは、ドイツらしい辛口のリースリングが充実。ビールだけは地元ドイツのものではなく、スーパーなどで取り扱いのない、北欧や英国のクラフトビールをセレクトしている。

「食事に合うものが増えてきたので、飲食店からの問い合わせも多くなっています。食事とのペアリングも提案していきたいですね」と、カウフさん。イギリスではハーブの効用を生かして、消化促進効果がある食後用のアルコールフリーのスピリッツも開発されたという。「代用品ではなく、おいしいから飲むアルコールフリーを提案していくことができたらいいなと思います」。

(写真)オーナーのカチャ・カウフさん(右)とイザベラ・シュタイナーさん。「ほろ酔いの夜も楽しいけれど、頭をシャッキリさせて楽しむ会話もいいもの。アルコールフリーなら飲めない人も飲める人も一緒に楽しむことができるのもいい」と話す。



◎Null Prozent Späti
Solmsstrasse 30, 10961 Berlin
12:00~20:00
日曜~火曜休
Instagram:@nuechtern.berlin

1ユーロ=129円(2021年9月時点)

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