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JOURNAL / 世界の食トレンド

Italy [Firenze]

ローフードのパスティッチェリア、フィレンツェに誕生

2022.02.14

Italy [Firenze] ローフードのパスティッチェリア、フィレンツェに誕生

text & photograph by Manami Ikeda

食材を加熱せず、加工も最低限に留めるローフーディズムのパスティッチェリア「コルテーゼ カフェ 900(Cortese Café 900)」がフィレンツェにオープンした。オーナーのヴィート・コルテーゼは、クレープ店を営む間に体調を崩し、健康回復のため食生活を見直すうちにローフードにたどり着いた。

ローフードの概念は実践者によって様々だが、ヴィートは自らを“クルディスタ(ローフーダー)”と称し、小麦粉、精製糖、イースト、卵、牛乳を使わず、ナッツ類やフルーツを多用したケーキ、クッキー、チョコレート、ジェラートのレシピを次々に考案。加熱はチョコレートのテンパリング程度(50℃前後)まで、焼成する代わりに乾燥工程を取り入れる。

例えばザッハートルテは、アーモンド、ココナッツの繊維(アーモンドミルクやココナッツミルクを搾った後に残る“おから”、とヴィートは呼ぶ)、ガナッシュで作ったスポンジケーキに、アイリッシュ・モス(海藻の一種)、デーツ、メープルシロップを加えてしっとりさせ、非過熱のアプリコットジャムを包んで、ガナッシュとカシューナッツで作ったグレーズでコーティング。球形の姿もユニークだが、何よりその柔らかさ、自然な甘味がしみじみとおいしい。焼かずに乾燥させることでさっくりとしたテクスチャーを出したクッキーは、ナッツの香ばしさやチョコレートの香りが生き生きとしている。

どのお菓子もコクはあるのに、食べた後に重さが残らない。健康に気遣いつつ、甘いものを我慢するというストレスも感じずに済む、良いことづくめのパスティッチェリアだ。

(写真)詰め合わせ(サブレ・カカオ、クッキー・イタリアーノ、ヘーゼルナッツとカカオのクルドッティ、ゴールデン・ジャンドゥイオット)で13.60ユーロ。



◎Cortese Café 900
Piazza Santa Maria Novella,12r Firenze
☎+39-055-0241691
8:00~20:00
無休
クッキー1ユーロ~、ケーキ6ユーロ~、ゴールデン・ジャンドゥイオット2ユーロ
https://www.vitocortese.com

*1ユーロ=128円(2022年1月時点)

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