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JOURNAL / 世界の食トレンド

Norway [Oslo]

魚をもっと生活に。ノルウェー人を驚かせた“サーモンのミンチ”

2022.05.19

text by Asaki Abumi / photograph by Lofoten

養殖サーモンが豊富に並ぶノルウェーのスーパーに、2021年9月、現地の人をあっといわせる商品が登場した。ロフォーテン(Lofoten)社の「サーモン・ミンチ(Kjøttdeig av laks)」だ。鶏や豚の挽き肉に酷似した形状とパッケージだが、原材料が魚*1という意外性が話題を呼び、リリース時には、漁業大臣が「魚がもっと食べやすくなり、様々な料理に簡単に応用できるだろう」と高い期待を見せたほどだ。


2020 年発表のノルウェーの食生活調査「シーフード消費者インサイト(Seafood Consumer Insight)」によると、ノルウェー人の10人中7人は、もっと魚を食べたいと考えている*2。しかし「魚料理は生活に取り入れるのが難しい」という以前から指摘される課題がある。「インスピレーションが思い浮かばず毎度同じレシピばかりで、調理に時間もかかる。魚を食べないといけない義務感はあるが、価格は高い――そう感じる人が多いのが現状です」と話すのは、ロフォーテン社商品担当チーフのアンドレアス・リエ・ヴェッセルさん。

現在、「サーモン・ミンチ」を好んで購入しているのは、魚料理のターゲットグループとしてはリーチしにくい層と言われる、30代の若い消費者。サーモンバーガー、サーモンボール、タコス、ラザニア、パスタなど、料理に使いやすいのが人気の理由だ。現在はフィンランドやデンマークでも販売されており、食卓の新たな代替案として普及拡大が期待されている。

*1 原材料はサーモン98%、ビネガー・パウダー1%、エンドウ豆繊維1%

*2 ノルウェー水産物審議会のサイトより(ノルウェー語)

(写真)パッケージには「早く簡単に作れる! お気に入りの料理にサーモンのミンチをこれから使おう」と書かれている。写真はノルウェー人が大好きなタコスだ。



◎Kjøttdeig av laks
59.90ノルウェー・クローネ/400g

*1ノルウェー・クローネ=14円(2022年4月時点)

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