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RECIPE

圧倒的に美しく、軽く、食べやすい。超人気ビストロの「グリーンサラダ」

パワーオフ・レシピ

2025.08.07

圧倒的に美しく、軽く、食べやすい。超人気ビストロの「グリーンサラダ」

photographs by Sai Santo

連載:パワーオフ・レシピ

家庭での電気使用量が急増する夏。電気やガスを使わなくてもおいしく作ることができる「パワーオフ・レシピ」をシェフに教わります。今回は、美しく、食べやすく、ふわっと軽い「グリーンサラダ」です。ありふれたサラダが、ちょっとしたコツで超人気ビストロの味に生まれ変わります。

教えてくれた人:東京・高田馬場「ラミティエ」宮下清志さん

宮下清志さん

都内フレンチやフランスで修業後、2000年に独立、現店を開く。ボリュームたっぷりで、肩ひじ張らずにフランスの日常の味を楽しめる、まさに“食堂”のような店として愛され、オープン以来、連日満席が続く。


プロの初歩的な常識が凝縮

大きな家具を小さな入口から運び込まなければならない時のように、食べにくいサラダは口の中に入れるのがひと苦労だ。ラミティエのグリーンサラダは山盛り。しかし、どこをフォークで刺して口に運んでも、食べにくさを感じることがない。

葉の大きさをしげしげと眺めると、意外に小さい。「小さいだけでなく葉が三角形になるようにちぎると、食べやすい。うちに入ってくる新人で、黙っていてもこれができる人は、前の店でちゃんと勉強してきた子だな、ってわかりますね。少ないですけど(苦笑)」と宮下清志シェフ。

どの料理も盛りっぷりがよいことで知られるラミティエだが、サラダは単なる大盛りではない。上から押したらすぐ元に戻りそうなほどフカフカとしていて、ほれぼれするほど美しい。フリルのように軽やかなのは、大きい葉ものの芯はまかないへまわし、葉の部分だけを使っているから。

小さな芯には隠し包丁が入る。また、水切りは面倒でも小さめのサラダスピナーで数回にわけて行う。「大きいと勢いよく回す必要が出てきて、葉がへたりやすくなる」。流水に直接あてないようにするのも野菜がへたらないため。まるで箱入り娘のような丁寧な扱いが、どの作業にも一貫している。

店は創業25年を迎えた。あいもかわらず予約がとりにくいのは、グリーンサラダのような細部にまで、食べる人への心遣いを忘れない店の心意気があればこそ、なのである。

「グリーンサラダ」の材料と作り方

[材料]
ピンクロッサ・・・以下、野菜はすべて適量
クレソン
チコリエンダイブ
チコリフリーゼ
グリーンカール
赤ミズナ
ミックスベビーリーフ

<ドレッシング※>
赤ワインビネガー・・・50ml
塩・・・適量
マスタード・・・大さじ1
コショウ・・・少量
サラダ油・・・100ml
クルミ油・・・50ml

※ドレッシングの作り方
1.赤ワインビネガーに塩、マスタード、コショウを加え泡立て器で塩が完全に溶けるまで混ぜる。2.オイルを合わせ、に少しずつたらしながら撹拌し、乳化させる。すり
おろしたニンニクやタマネギを入れてもおいしい。


[作り方]
[1]葉は三角形にちぎる

葉は三角形にちぎる

葉はだらりとしないよう三角形にちぎる。大きい葉ものは、外側を小さく、内側に進むにしたがって、やや大きめの意識でちぎる。

[2]細めの芯は包丁で半分に

細めの芯は包丁で半分に

チコリのような細めの芯には包丁を入れてさらに細くする。葉ものの下半分を占める芯は店では使わず、まかないへ回す。

[3]長さを揃える

長さを揃える

クレソンは穂先から1本1本、ナイフで5~6cm 長さに切っていく。写真のようにすべての野菜をほぼ同じ長さ(長さ5~6cm)に揃える。

[4]野菜に直接、流水を当てない

野菜に直接、流水を当てない

直接野菜に流水が当たらないよう、手に水を当てながら野菜の入ったボウルを水で満たす。野菜に張りが出るまで浸ける。

[5]野菜はすくい上げる

野菜はすくい上げる

底にたまったごみが入らないよう、両手で野菜をすくい上げるようにして上げ、水気を切り、ザルにあける。

[6]回転はやさしく

回転はやさしく

サラダスピナーに入れ、手首を使ってやさしく回転させながら水気を切る。高速で強く回すと野菜がへたるので注意。【POINT】軽く回せるよう、サラダスピナーは小さめが望ましい。

[7]ドレッシングは縁から

ドレッシングは縁から

ボウルに水気を切った野菜を入れ、ボウルの縁からドレッシングをまわしかけ、野菜に直接当たらないようにする。

[8]小刻みではなく大きく返す

小刻みではなく大きく返す

片手でボウルを傾け、底から野菜に空気を送るように大きく返しながら和えていく。

[8]壁を作って上へ上へ

壁を作って上へ上へ

皿に盛る。左手で壁をつくり、野菜を積み上げていく。上に色のよい野菜をもっていくとよい。

グリーンサラダ

一度この食べやすさを体験すると、おざなりに作られたグリーンサラダはすぐ識別できるようになる。いろんな種類の葉野菜を混ぜると味わいも楽しい。

(雑誌『料理通信』2010年7月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)


東京・高田馬場「ラミティエ」の店舗情報


ラミティエ
東京都新宿区高田馬場2-9-12 柴原ビル1F
☎03-5272-5010
17:00~23:00
日曜、月曜休
東京メトロ高田馬場駅より徒歩5分
Instagram:@lamitie_takadanobaba

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

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