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RECIPE

DIYレシピ05

自家製ボイルハムをしっとりピンクにする秘訣

東京・中野「vivo daily stand」花本朗シェフ

Mar 07, 2022

photographs by Masahiro Goda

塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。天日に干したり、発酵させたり、自然の力にゆだねるレシピは、人間本位ではない生き方を学ぶ処方箋。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。

教わるテクニック:塩蔵
教えてくれたシェフ:東京・中野「vivo daily stand」花本朗さん

1975年、福岡県生まれ。故郷で音楽の道を志しながら飲食店で働くうちにフランス料理に目覚め、福岡のレストランやホテルを経て渡仏。1年間、現地で修業し、帰国後は、「オーバカナル」などを経て2010年「vivo daily stand」へ。現在は代表取締役として、全33店舗のメニュー開発、調理統括に携わる。最新刊「小さなバルの家飲みレシピ」(共著/河出書房新社)では、簡単に作れるつまみや作り置きレシピなど作りたくなるレシピを収録。


パサつき、くすみ、“茹で豚”感がぬぐえない理由とは。

ご家庭でも入手しやすく、少ない材料で作れるボイルハムは、自家製シャルキュトリーの中でも挑戦しやすいアイテムではないでしょうか。ですが意外に、「作ってみた」に負けないくらい「うまくできなかった」と言う声を聞くかもしれません。身近な食材ゆえ「こう作りたい」という理想像がはっきりあるのでしょう。

また、豚の塊肉を塩漬けして茹でるというシンプルな工程の中に、案外見落としがちな、大事なポイントがたくさんあるのです。よく聞くお悩みが「“茹で豚”感がぬぐえない」。パサついて、味が芯まで沁み届かず、風味も色も悪いという状態だと思います。原因は大きくまとめると2つ。浸け込みの仕方と茹で方かな。

まずは浸け込みですが、塩や香辛料など粒子の状態で直接肉にすり込むのではなく、ソミュール液の中で時間をかけて浸透させること。その方がムラなく確実に、芯まで同じ塩分濃度に持っていくことができます。

次に茹で方です。おいしいと感じる肉の加熱温度は65℃と言われていて、この湯温を芯まで火が通るまでの2時間、保つこと。そして茹で湯はたっぷりと。その方が変化に動じにくいです。肉を入れる前に一旦80℃位まで上げておき、肉を入れたらしばらく待ち、65℃に落ち着くよう、一度火加減を整えれば、後はそんなに難しくありません。必ず温度計は使いましょう。僕は肩ロースを使いますが、モモで作る場合、繊維質なのでより細かな温度調整に気をつけたいです。

湯から引き揚げたらすぐにホイルで包んで2時間置いて。茹で上げは肉の中で水分が巡っています。ゆっくり冷まして落ち着かせてください。

最後に硝石について。硝石は発色だけでなく風味アップ、静菌効果があります。あの「ハムだなあ」という香りや色味は実は硝石を入れることで出てくる。安全面で、極少量使うのは悪いことではないと思います。岩塩など天然の塩にも少量の硝石が含まれているので多少の発色効果があります。

自家製ボイルハムの極意


1 塩を直接すりこまず、液体に浸して芯まで浸透させる。
2 65℃をキープして2時間茹で、2時間休ませる。
3 肉の部位を変えて味わいに変化を。

【材料】(作りやすい分量)

豚肉(肩ロース・ブロック)・・・好みの量(撮影時1㎏)

<ソミュール液>
 水・・・2L
 岩塩・・・250g
 砂糖・・・150g
 硝石・・・25g
 ローズマリー・・・2枝
 ローリエ・・・2枚
 クローブ・・・5本
 コリアンダー・・・10粒
 黒コショウ・・・20粒
 ジュニパーベリー・・・10粒

【 作り方 】
[1]肉に串を打つ


豚肉はグルグルと巻きつけるようにタコ糸で縛り、味が芯まで届くよう、長い鉄串で何カ所も刺し込みを入れる。

[2] ソミュール液を作る

ソミュール液の材料をすべて鍋に入れ、かき混ぜて溶かしながら中火でひと煮立ちさせる。火から下ろし、そのまま冷ます。
POINT:硝石を極少量使うと、発色だけでなく、静菌や風味アップの作用があり、保存にも役立つ。ネット販売で入手できる。また、岩塩も多少の発色効果があると言われている。

[3] 真空状態で48時間以上浸す


ビニール袋に肉を入れ、ソミュール液をレードルですくって肉全体が浸るまで注ぎ、空気を抜くように口を縛り、48時間以上冷蔵庫で置く。

[4] たっぷりの湯をまず80℃にする

湯はたっぷり用意すること。一旦80℃まで熱してから肉を入れると、65℃前後で安定しやすい。コンロからも離れられる。

[5] 65℃で2時間茹でる

[3]をビニールから取り出し、そっと入れる。しばらくして65℃を保つよう火加減を調節し、そのまま2時間茹でる。

[6]ホイルに包み、2時間休ませる

2時間たったらすぐに引き上げ、温かいうちにアルミホイルで包み、さらに2時間おく。ゆっくり冷めることで水分が肉に戻り、しっとり仕上がる。

仕込み時間:2日、食べごろ:すぐ~、保存方法:冷蔵で1週間、冷凍で1カ月前後

<部位を変えて>

豚モモ肉は脂肪分が少なく、さっぱりとコク深い味わい。筋繊維が発達しており、きめ細かく、しっかりとした歯応えも魅力。強いて言えば肉が締まりやすいので、ボイル温度にはより気をつけたい。



◎ vivo daily stand 中野本店
東京都中野区中野3-35-6
17:00~翌2:00
土曜、日曜、祝日12:00~翌2:00
無休
JR中野駅より徒歩3分
https://vivodailystand-nakano-winebaru.officialblog.jp/

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

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