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RECIPE

切り方で素材を表現する「ニンジンとネーブルオレンジのサラダ」

パワーオフ・レシピ

2025.08.14

切り方で素材を表現する「ニンジンとネーブルオレンジのサラダ」

photographs by Tsunenori Yamashita

連載:パワーオフ・レシピ

家庭での電気使用量が急増する夏。電気やガスを使わなくてもおいしく作ることができる「パワーオフ・レシピ」をシェフに教わります。今回は、極薄にスライスしたニンジンの食感が新鮮な「ニンジンとネーブルオレンジのサラダ」です。

目次






教えてくれた人:長崎・雲仙「ビアード」原川慎一郎さん

原川慎一郎さん

2012年に東京・目黒に「BEARD(ビアード)」をオープン。同店を閉め、17年、カリフォルニアの「シェ・パニース」元総料理長であるジェローム・ワーグ氏と共に神田に「The Blind Donkey」をオープン。21年、35年にわたって在来種・固定種の野菜を自家採種しながら有機栽培で育てる岩崎政利さんのいる長崎県雲仙市に移住し、新生「BEARD」をオープン。


素材が生き生きとした料理を作る

27歳の頃、フランス料理に魅せられて料理人の道を歩み始めた原川慎一郎さん。都内のレストランに勤めた後、フランスでも修業をした。

転機が訪れたのは2011年。都内で開催されたたイベントでカリフォルニアのオーガニック・レストラン「シェ・パニース」のスタッフとの交流が始まった。「ベースはフレンチだったり、作るのはイタリア料理人だったり。でも彼らの料理にはそんなことを超えた何かがあった。料理人のエゴはなく、ただ素材を表現する。それがとても新鮮で」。

フレンチ一筋だった原川さんは、彼らから少なからずの影響を受けた。料理人としての過度な主張や、食べ手との間の隔たりは要らない。大切なのはソースを美しく仕上げることより、素材がいきいきとした料理を、みんなが楽しそうに食べていること。触れて心地いい家具、気持ちをふわっとさせる音楽、ワインと気の置けない仲間。今を楽しくするもの。そのひとつとしての料理を作ろう、と。

2012年に開いた「BEARD」、そして「シェ・パニース」の元総料理長であるジェローム・ワーグ氏と共に“100% Organic Japan”という旗印を掲げて17年にオープンした「the Blind Donkey」。21年からは在来種の種取りを続ける農家の近くで新生「BEARD」を営む。

原川さんは常に、畑と食べ手の真ん中に立ち、素材の力と生産者の生き方や文化を、料理を通じて伝え続けている。

「ニンジンとネーブルオレンジのサラダ」の材料と作り方

[材料]
ニンジン・・・1/2個
ネーブルオレンジ・・・1/2個
フェンネル・・・適量
エシャロット(刻んだもの)・・・3g
ディルシード・・・1つまみ
モッツァレッラチーズ・・・1/2個
スペアミント・・・適量

<ドレッシング>
レモン汁・・・小さじ1
赤ワインビネガー・・・小さじ1
ピュアオリーブ油・・・大さじ1
塩、黒コショウ、ハチミツ、ディジョンマスタード・・・各適量


[作り方]
[1]ドレッシングを作る
ドレッシングの材料を混ぜ、 エシャロット、ディルシードと合わせておく。

[2]野菜をスライスする

野菜をスライスする

皮を剥いたニンジンとフェンネルはスライサーで極薄にスライスし、と合わせて塩で味を調える。【POINT】繊維に沿ってスライスして、食感を生かす。

[3]オレンジを加える

オレンジを加える

皮を剥きひと口大に切ったオレンジを加えて和える。

[4]仕上げる
を皿に盛り、モッツァレッラチーズを手で裂いてのせる。E.V.オリーブ油(分量外)を回しかけ、スペアミントを散らす。

ニンジンとネーブルオレンジのサラダ

フルーツとチーズを使ったサラダはビアードの定番。スライサーで繊維に沿って極薄にスライスしたニンジンは、葉野菜感覚で食べられる。

(雑誌『料理通信』2014年5月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)


長崎・雲仙「ビアード」の店舗情報


BEARD
長崎県雲仙市小浜町北本町2-1
☎0957-74-5557
水曜、木曜、土曜12:00~、金曜、土曜18:00~
日曜~火曜休、不定休あり
https://www.b-e-a-r-d.com/

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

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