RECIPE

発酵茶葉の複雑な味わい「ティーリーフサラダ」

レスキューレシピ【お茶編】

2024.12.05

text by Kyoko Kita / photographs by Tsunenori Yamashita

日本の食品ロス量は年間570万トン*と言われています。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にしないための活用レシピをシェフに教わる連載「レスキューレシピ」。今回のテーマは【お茶】。余らせてしまいがちなお茶を使った、そのまま飲む以外のアレンジ方法を紹介します。今回は、煎茶の茶葉を発酵させた“発酵茶葉”を混ぜて食べる「ティーリーフサラダ」。緑茶ならではの渋味・旨味・香りと発酵の酸味が織りなす妙をお楽しみください。

*農林水産省「日本の食品ロスの状況（令和元年度）」

■教えてくれた人：東京・外苑前「アンディ」元シェフ（現「ジャストフォーユー」シェフ）内藤千博さん
■ミャンマーの山奥の発酵文化を東京の厨房で
■「発酵茶葉」材料と作り方
■展開「ティーリーフサラダ」の材料と作り方
■東京・外苑前「アンディ」の店舗情報
■東京・日本橋「ジャストフォーユー」の店舗情報

教えてくれた人：東京・外苑前「アンディ」元シェフ（現「ジャストフォーユー」シェフ）内藤千博さん

「サイタブリア」で修業後、「レフェルヴェソンス」のスーシェフを経て、2018年よりモダンベトナム料理を提供する「アンディ」のシェフを務める。2024年、ベトナムフォーとチェーの専門店である「ジャストフォーユー」をオープン。

ミャンマーの山奥の発酵文化を東京の厨房で

「ティーリーフサラダ」は、「ラペソー」という発酵茶を使ったミャンマーの料理がベースです。現地では生茶葉を竹筒に詰めて地中で発酵させますが、ここは東京、真空パックで仕込みます。茶葉は福岡の八女茶。生茶葉でも作ってみたことがありますが、うまく発酵しなかったので煎茶を使うことにしました。

ラペソーは乳酸発酵によるものですから、風味を近づけるためにヨーグルトを加えます。水と塩も入れて密閉したら、おしぼりのウォーマーやヨーグルトメーカーに入れ、乳酸菌の活動を促す43℃で発酵を開始。最低半日おいて、発酵が活発になってきたら30℃以上の場所に移して、１週間〜10日おきます。茶葉の爽やかな香りと苦味、旨味に、ヨーグルトと発酵による仄かな酸味も加わって、複雑な味になります。

合わせる具材は、同じくらいのサイズにカットした野菜や季節の果物、数種類のハーブ、ナッツやゴマ。自家製のぬか漬けも、同じ発酵食品ということで相性が良いんですよ。よく混ぜて食べると、口に入れる度にいろんな味や食感が楽しめます。

「発酵茶葉」材料と作り方

発酵温度／時間：43℃で12時間、30℃で１週間～10日
完成の目安　　：お茶の香りがもれてきたら
保存方法　　　：常温。封を開けたらすぐ使う

［材料］（作りやすい分量）
緑茶（八女茶）・・・100g
塩・・・６g（水+ヨーグルトの重量の２％）
ヨーグルト・・・50g
水・・・200g

［作り方］
［１］ヨーグルトを溶かす

ボウルに水を注ぎ、塩、ヨーグルトを加える。ホイッパーなどを用いてよく溶かす。

［２］茶葉を浸す

真空袋に茶葉を入れ、１を注ぐ。

［３］真空にする

真空包装機で真空パックにする。ジップロックの場合は、できるだけ空気を抜く。

［４］高温発酵：43℃／12時間

43℃の場所に12時間入れて温度を上げる。店ではおしぼり保温機を使用。

［５］中温発酵：30℃／１週間～10日

厨房の温かい場所に置く。

［６］変化を確認する

１週間程度で、発生したガスでところどころに隙間ができ、茶葉の香りがしたら完成。

展開「ティーリーフサラダ」の材料と作り方

［材料］（すべて適量）
発酵茶葉
桜エビ（生をサラダ油でさっと炒めて塩をふる）
もち麦（塩茹で）
キュウリ
ぬか漬け（ニンジン、カブ、パイナップル）
カシューナッツ（黒糖を絡めてロースト）
ロースト・ココナッツ
トマト
エシャロット（素揚げ）
ゴマ
柑橘の果肉
葉野菜
コリアンダーの花
ディル
フレンチドレッシング（煮詰めた甘夏を使用）

［作り方］
［１］具材を揃える
野菜類は大きさを揃えてさいの目に切る。エビはサラダ油でさっと炒めて塩をふる。

［２］盛り付ける
皿の中央に葉野菜を盛り、まわりに具材、発酵茶葉を盛り付ける。コリアンダーの花、ディルを飾る。甘夏を煮詰めたドレッシングを添える。

様々な食感、味、香りの具材と発酵茶が引き立て合い、食べる人の味覚を刺激する。茶葉の旨味が濃厚なため、見た目以上に食べ応えもある。煮詰めた甘夏を使った甘酸っぱいドレッシングと相まって爽やかな印象。（このメニューは現在、「アンディ」で提供しており、「ジャストフォーユー」では提供しておりません）

東京・外苑前「アンディ」の店舗情報

◎An Di（アンディ）
東京都渋谷区神宮前３-42-12
☎03-6447-5447
12:00～13:30LO（土曜、日曜）
18:00～21:00、21:00～22:00LO（アラカルト、ワインのオーダーは23:00LO）
月曜休
東京メトロ外苑前駅より徒歩５分
http://andivietnamese.com/

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。