コク深いのにあっさり。本場ボローニャのマンマの味「ラグー ボロネーゼ」
スローレシピ
2024.06.27
photographs by Hide Urabe
連載:スローレシピ
材料をイチから用意し、時間をかけて、料理すること自体をゆっくりと楽しむ。それが“スローなレシピ”。時短とは真逆の価値観の先に、とびきりの味が待っています。今回は、「イル・リフージョ・ハヤマ」の渡辺明シェフがエミリア=ロマーニャ州、ボローニャで教わったラグー ボロネーゼ。あっさりとしていながらも牛肉の旨味とコクが感じられる、本場のマンマ直伝レシピです。
目次
教えてくれた人:神奈川・葉山「イル・リフージョ・ハヤマ」渡辺 明さん
牛乳と白ワインであっさり仕上げる
ボローニャにあるカペッリ家のマンマに教わりました。彼女は料理研究家で、ラグー=赤ワインのイメージがあった僕に「クラシコ(伝統的)は白ワインと牛乳よ」と。確かに、あっさりした中に牛肉の旨味とコクが感じられ、赤ワインと違う魅力。なるほどと思いました。
他の工程は通常のラグーと同じですが、白ワインや牛乳など、煮込み途中で加え液体は必ず加熱か常温にしておきます。そして出来上がったソースも常温でゆっくり冷まします。肉を硬くさせないためと、味をしっかり染み込ませるため、日本の煮物と一緒ですね。
ここからは僕流ですが、国産牛は脂身が多いので、焼いた時に染み出る脂は取り除きます。焼く時は弱火だと肉の脂が出すぎ、旨味も流れるので、必ず強火で。ところどころこの焦げ目は旨味なので、しっかり焼きつけて。ソースともったり絡めたいので、平麺やショートパスタと一緒にどうぞ。
「ラグー ボロネーゼ」材料と作り方
[材料](7人分)
A
タマネギ・・・50g
ニンジン・・・40g
セロリ(茎の部分)・・・40g
オリーブ油・・・大さじ2
牛スネ肉(粗挽き)・・・1㎏
白ワイン(辛口)・・・300~500ml
鶏と牛骨のブロード(なければブイヨンでも可)・・・500ml
ホールトマト・・・500g
トマトペースト・・・大さじ1
ローズマリー(葉の部分)・・・3枝
ローリエ・・・3枚
パルミジャーノチーズの皮(あれば)・・・適量
牛乳・・・150ml
塩、コショウ・・・各適量
[仕上げ]
タリアテッレ(生)*・・・80g
パスタの茹で汁・・・適量
*(生地80g×7 ~ 8玉分)ボウルに00粉150g、セモリナ粉350g、卵黄8個、全卵2 個、塩少量をすべて加えて混ぜ合わせ、ひとつにまとめてラップをし、一晩常温で寝かせる。生地をパスタマシンでやや厚めに伸ばし、幅6mm幅に切る。
[作り方]
[1]野菜を炒める
Aを適度な大きさにカットし、フードプロセッサーで粗目のペースト状にする。鍋にオリーブ油と一緒に入れて火にかけ、30~40分キツネ色になるまで火を通す。
[2]牛挽肉を焼く
バットの上で牛肉をひとつの大きなハンバーグ状に整える。塩、コショウをし、フライパンで両面を強火で焼く。1の鍋に移す。
POINT:牛肉から染み出た脂は取り除く。
[3]旨味をこそげ落とす
残ったフライパンに白ワインを入れて熱し、ヘラで旨味をこそげ落として2の鍋に移す。
[4]煮込む
ブロード、ホールトマト、トマトペースト、ローズマリー、ローリエを加えて中火で沸かしたら、弱火に落とし、2時間~2時間半煮る。
POINT:ひと煮立ちさせて、トマトの酸を和らげる。
[5]チーズと牛乳を加える
パルミジャーノ、常温の牛乳を加え30分煮たら、塩、コショウで味を調える。
POINT: 冷えた液体を鍋に加えると牛肉が締まってしまい、味が染み込みづらくなる。必ず常温または温めてから加える。
[6]粗熱をとる
日本の煮ものと同じように、素材に味を含ませるため、急冷はせず、常温で冷ます。
※気温が高い時期は、バットに広げるなど常温でも早く冷ます工夫を。
[7]パスタと絡める
鍋に6を80gとパスタの茹で汁を加えてソースを伸ばす。茹で上がったパスタを絡ませる。
神奈川・葉山「イル・リフージョ・ハヤマ」の店舗情報
◎イル・リフージョ・ハヤマ
神奈川県三浦郡葉山町一色2179
☎046-875-1515
完全予約制(当日予約不可)
18:30入店~ 21:00閉店
月曜ディナータイム・火曜休
JR逗子駅よりバス 一色海岸バス停下車2分
https://www.ilrifugio-hayama.com/index.html
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2016年10月号掲載)
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