料理にもデザートにも使える「リュバーブのシロップ煮」
スローレシピ
2024.06.13
photographs by Hide Urabe
連載:スローレシピ
材料をイチから用意し、時間をかけて、料理すること自体をゆっくりと楽しむ。それが“スローなレシピ”。時短とは真逆の価値観の先に、とびきりの味が待っています。今回はもうすぐ旬を迎えるリュバーブのシロップ煮です。素材の味を引き立てる軽やかなシロップ煮は料理にもデザートにも幅広く使えて活用度大! 他の果物でも応用できます。
目次
- ■教えてくれた人:東京・代々木八幡「PATH」後藤裕一さん
- ■自然の色・形・味を生かす
- ■「リュバーブのシロップ煮」材料と作り方
- ■展開例「リュバーブのモザイク」
- ■東京・代々木八幡「PATH」の店舗情報
教えてくれた人:東京・代々木八幡「PATH」後藤裕一さん
自然の色・形・味を生かす
東京・代々木八幡のレストラン「パス」の後藤裕一さんは、料理人が肉や魚と向き合うように、フルーツと向き合う。「肉や魚は塩をすることで素材の味を持ち上げますよね。フルーツの場合、砂糖によって素材の味を持ち上げるんです」
シロップ煮もその手法のひとつだ。「今日お教えするのは、長期保存のためのシロップ煮ではなくて、あくまで味わいを引き出すためのシロップ煮です」。砂糖が加わることで、素材に潜む味わいの輪郭がくっきりと立ち上がる。シロップに覆われることでみずみずしさが保たれる。
「ハーブやスパイスを加えれば、香りを“まとわせる”こともできる。フルーツ自体にスパイスを染み込ませるのではないほどよさも、シロップ煮のメリットです」
作り方はいたってシンプル。空き瓶に生のフルーツを入れて、熱したシロップを注ぐだけか、スチームコンベクションオーブンや湯煎で加熱するだけ。リュバーブ以外にも様々なフルーツに応用できる。「リュバーブはあえて食感を残すようにしています。歯応えを楽しんでみてください」
熟し加減や甘さの強弱によってシロップの配合を変える必要はないそうだ。「自然な素材は自然な持ち味を楽しんだほうがいい。産地によって、時期によって、年によって違うことがフルーツの面白さ」。後藤さんがフルーツを使う意味もそこにある。
「単一化されない自然の良さですね。正確に計量して、きっちり仕上げていくお菓子作りの中で、個体差のあるフルーツが不均一さを醸し出してくれる。そこに味わいが生まれます」
「リュバーブのシロップ煮」材料と作り方
[材料](1L のガラス瓶1個分 )
リュバーブ・・・10本
水・・・500g
グラニュー糖・・・300g
タイム・・・3本
オレンジの皮(2cm×5cm)・・・3枚
ローリエ・・・1枚
E.V.オリーブ油・・・大さじ2
[作り方]
[1]洗う
リュバーブは泥が付いていることが多いのでよく洗う。
[2]切る
瓶に入る長さにカットする。通常は皮をむいてトロトロに加熱するが、今回は形を残して歯応えを出すため、むかずに加熱。
[3]シロップをつくる
水、グラニュー糖を中火にかけて沸騰させる。
[4]リュバーブを瓶に詰める
瓶にリュバーブを詰めて、リュバーブが完全にかぶるまで、シロップを注ぎ入れる。
[5]ハーブなどを入れる
タイム、オレンジの皮、ローリエ、E.V.オリーブ油を加えて、蓋をしっかり閉める。
POINT:ローリエはちぎって入れる。
[6]加熱
スチームコンベクションオーブンがあれば、80℃で8分加熱。
POINT:高温で加熱すると一気にトロトロになるので注意。
湯煎の場合も、 80℃で8分加熱する。
POINT:歯応えを残すのがポイントなので、横に付いて温度をキープ。
[7]上下を返す
味を全体に行き渡らせるため。瓶をひっくり返して、しばらく置く。
[8]薄皮をむく
使う直前に表面の薄皮をむく。
シロップに溶け出した赤い色が美しい。サラダなどの料理にもぜひ。
展開例「リュバーブのモザイク」
3mm厚さにカットしたリュバーブの周囲にはヨーグルトムース。底にはリュバーブと赤ピーマンのコンフィチュール。煮崩すことの多いリュバーブをあえて形が残るようにシロップ煮にすることで、こんなデザートが作れるなんて!
東京・代々木八幡「PATH」の店舗情報
◎PATH
東京都渋谷区富ヶ谷1-44-2 A-FLAT1F
☎03-6407-0011
朝食 8:00~13:00LO / 月曜、火曜休
ディナー 18:00~22:00LO / 日曜、月曜休
東京メトロ代々木公園駅より徒歩2分
Instagram:@path_restaurant_
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2016年8月号掲載)
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