HOME 〉

RECIPE

蒸すと粉の風味がよくわかる。カタネベーカリー直伝「肉まん」

スローレシピ

2025.01.14

蒸すと粉の風味がよくわかる。パン職人が作る「肉まん」

photographs by Masahiro Goda

連載:スローレシピ

材料をイチから用意し、時間をかけて、料理すること自体をゆっくりと楽しむ。それが“スローなレシピ”。時短とは真逆の価値観の先に、とびきりの味が待っています。今回は、粉と向き合い続けてきた「カタネベーカリー」の片根大輔さんに、「肉まん」の作り方を教わります。ショウガの利いた餡と共に、生地のおいしさも堪能できます。

目次






教えてくれた人:東京・代々木上原「カタネベーカリー」片根大輔さん

東京・代々木上原「カタネベーカリー」片根大輔さん
photograph by Ayumi Okubo

1974年生まれ、茨城県出身。「ドンク」に6年勤務後、2002年独立し現店をオープン。日本のパン動向をリードしてきたブーランジェの一人。国産小麦によるパン作りに取り組み、小麦農家との交流を深めてきた。2019年以降は店のスタッフと小麦栽培に挑戦。保育園の給食パンを手掛ける他、ブルーボトルコーヒーをはじめ約30軒のカフェやレストランに納めるなど、地域や飲食店からの信頼も厚い。


パン職人は粉職人。点心から学ぶこともたくさんある

もっと小麦のことを知らなければと思って、数年前から小麦栽培に取り組んでいます。群馬県南牧村の農家さんの畑で一緒に小麦を育て始めました。

パン職人は粉職人であると捉えれば、うどんから学ぶこと、点心から学ぶこともたくさんあります。でも、知れば知るほど、パンが面白くなってきた。パン職人になって20余年、僕は今が一番楽しい。小麦の品種の違いや栽培者の違いを粉から感じ取れるようになって、どこを生かせばいいかを掴みかけてきたからだと思うのです。

この肉まんは、僕の店で台湾の子が働いていた時に、彼から教わったもの。イベントでよく作るのですが、蒸しパンは粉の味がよくわかるんですよね。焼いたパンはメイラード反応によって旨味がプラスされるけれど、蒸しパンは粉の風味が純粋に現れる。だから、新しい粉と出会った時、僕はよく蒸しパンを作ります。みなさんも新しい粉の使い始めは、ぜひ蒸しパンを試してみてください。


「肉まん」材料と作り方

[材料](10個分)
<餡>
豚肉(粗挽き)*1・・・200g
塩・・・2g
醤油・・・7g
砂糖・・・ひとつまみ
ショウガ(3mm角)・・・80g
青ネギ(小口切り)*2・・・40g
*1 部位は好みで。
*2 青ネギは、万能ネギでも葉タマネギでもよい。

<生地>
強力粉*3・・・300g
きび砂糖・・・18g
塩(ゲランドの塩)・・・4.5g
セミドライイースト・・・15g
水・・・174g
太白胡麻油・・・9g
*3 湘南小麦と有機春よ恋を50:50の割合で配合。

[作り方]
<餡を作る>
[1]肉に調味する

[1]肉に調味する

肉と調味料を混ぜ合わせる。指先で練るようにして馴染ませる。

[2]ショウガと青ネギを加える

[2]ショウガと青ネギを加える

ショウガと青ねぎを順に加え、その都度混ぜ合わせる。

[3]練って粘りを出す

[3]練って粘りを出す

手で握るようにしてよく練り合わせ、粘りを出す。

<生地を作る>
[1]粉に水を含ませる

[1]粉に水を含ませる

粉、砂糖、塩、イーストをボウルに入れ、水、ゴマ油を加えて、粉に水を含ませるように混ぜ合わせる。

[2]体重をかけてこねる

[2]体重をかけてこねる

まとまったら、ボウルから出してこねる。生地を折り返しながら、体重をかけてこねる。(こね上げ温度は25℃)

[3]1次発酵(室温で30分)

[3]1次発酵(室温で30分)

滑らかになったところで、丸めてボウルに戻す。乾かないように表面を覆い、室温で30分発酵。

[4]パンチ

[4]パンチ

生地を麺棒で上下に伸ばして三つ折、左右に伸ばして三つ折にする。パンチをすることで生地に力をつける。

[5]2次発酵(室温で60分)

[5]2次発酵(室温で60分)

ボウルに戻して、乾かないように表面を覆い、室温で60分発酵させる。

[6]棒状にロールする

[6]棒状にロールする

麺棒で四角く伸ばし(約30×20cm)、長辺を端からロールして、40cmほどの棒状にする。

[10]分割

[10]分割

10等分にカットする。1個45~50g相当。

[11]成形

[11]成形

断面を上にして潰してから、麺棒で直径9cmほどの円形に伸ばす。

<包む→蒸す>
[1]餡をのせる

[1]餡をのせる

生地を左手のひらに置き、約30gの餡をのせ、軽く包み込む。

[2]ひだを作る

[2]ひだを作る

右手で生地の端を少しずつ重ね合わせてひだを作る。左親指で軽く餡を押さえておく。

[3]口を閉じる

[3]口を閉じる

ひだを作りながら全体を回転させて、抱合部をひねって閉じる。

[4]最終発酵(室温で45分)→蒸す(15分)

[4]最終発酵(室温で45分)→蒸す(15分)

グラシン紙を敷いて蒸篭に並べ、室温で45分発酵させた後、15分間強火で蒸す。

蒸し上がり

蒸し上がり。粗挽き肉とざく切りショウガのジューシーな旨味を生地が受け止める。


東京・代々木上原「カタネベーカリー」の店舗情報


カタネベーカリー
東京都渋谷区西原1-7-5
☎03-3466-9834
7:00~15:00、7:00~14:00(日曜)
月曜、第1・3・5日曜と翌火曜休、夏季長期休暇あり
各線代々木上原駅、京王新線幡ヶ谷駅より徒歩10分
Instgram: @katanebakery

※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2020年6月号掲載/本文はウェブサイト用に一部調整しています)

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。