HOME 〉

JOURNAL / 世界の食トレンド

ノンアルコールで健康的に踊る!SNSで広がる“ソフト・クラビング”

Australia [Sydney]

2025.08.28

ノンアルコールで健康的に踊る!SNSで広がる“ソフト・クラビング”

text by Akiko Ganivet
シドニー「ウィルソン・コーヒー」は、建築家の集まりがポップアップとして2018年に始めたカフェ。サステナビリティ&エシカルにこだわり、利益はすべてチャリティに。

休日の午前11時近く。冬真っ只中のシドニーで、ラテを片手にZ世代の若者数百人が吹き抜けのカフェでクラブ音楽を楽しんでいる。アルコール離れが進む、ヘルシー志向の20代をターゲットにしたイベントだ。

2024年11月の創設以来、急成長し続けている「メープル・ソーシャル・クラブ」(以降メープル)は、20代前半の若者2人が立ち上げた。毎週末、シドニー各地でコミュニティイベントを開催し、改築した教会をリフォームしてディナーパーティを開いたり、ピックルボール(穴が開いたボールをパドルで打ち合うスポーツ)のトーナメントを行うなどふれあいの場を作っている。ベーカリーやカフェで開催するDJイベントは、「コーヒー1杯の値段で参加できる」とかなりの人気だ。

ジム通いを重ねるウェルネス志向のオージーにとって、アルコールにまみれたクラブの雰囲気は避けたいが、日中みんなと思いっきり踊りたいというリクエストは少なくない。こうしたコーヒー&DJイベントは“ソフト・クラビング”と呼ばれ、ソーシャルメディアの口コミで広がり、今では海を越えてトロントやシンガポールでも開催されている。

市内中心部近くサリー・ヒルズにある非営利カフェ「ウィルソン・コーヒー(Wilson Coffee)」では、ほぼ毎月メープルのDJイベントが開催されている。利益はすべて寄付され、現在はLGBTQ+(性的マイノリティ)や自閉症の子供を持つ家族を支援している。サリー・ヒルズで長年カフェを経営してきたコロンビア人のバリスタ、ホアキンさんが母国のコーヒー農家と直接取引し、サステナビリティ&エシカルを掲げたシングルオリジンコーヒーを提供。まさにコミュニティスピリッツに溢れたイベントだ。

ウィルソン・コーヒー
性的マイノリティの家族を支援するチャリティに利益の一部を寄付しているウィルソン・コーヒー。レギュラーサイズのコーヒーは5豪州ドル。
バリスタのホアキンさん
いつもほがらかなバリスタのホアキンさん。毎日のカフェ通いを楽しくしてくれるサリー・ヒルズの有名人。photograph by Wilson Café
いまや400人以上並ぶDJイベントに成長
メープル立ち上げ当初は50人程度だった参加者は、いまや400人以上並ぶDJイベントに成長。午前9時オープンのウィルソン・コーヒーには、犬の散歩をしながら参加する地域の住民も。1時間後にはDJのビートで盛り上がる若者でいっぱいになる。

Maple Social Club
https://www.instagram.com/maplesocialclub/

Wilson Coffee
35 Richards Lane, Surry Hills, NSW 2010
6:30~15:00(土曜7:00~14:00、日曜8:00~14:00)

*1豪州ドル=95.9円(2025年8月時点)

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。