「Fermentation」茂木恵実子さん『はじめてのチャバタ』を出版
砂糖も油脂も乳製品も使わない食事パンの作り方
2026.10.15
パンとお菓子のアトリエ「Fermentation(フェルマンタシオン)」を主宰する茂木恵実子さん初の著書『はじめてのチャバタ』が発売された。
茂木さんは店を持たず、卸売、ポップアップ、イベントなどでパンを販売する。茂木さんのパンは、好きな時に買いに行けて、好きな時に食べられるわけではない。それだけに、著書の出版をうれしく思った人は多いに違いない。もちろん茂木さん自身が焼いたパンを食べる喜びに勝るものはないけれど、あのパンが自宅で焼けるなら、それもまた幸せな展開と言えるだろう。
本書はチャバタだけで構成されている。多種類のパンの作り方が載っている一般的なパンのレシピブックとはちょっと違う。ひたすらチャバタだ。茂木さんが15年以上、ひたむきにチャバタと向き合って、手を動かす中で完成された“茂木さんのチャバタ”に徹底して照準を合わせ、初めての人でも確実に作れるよう丁寧に、痒いところまで手が届くように手引きされる。
そう、茂木さんのパンに対する姿勢は「ひたむき」「ひたすら」という言葉がふさわしい。パン職人ではなく、家庭製パンとも違って、独特のスタンスでパンと関わり続けるその姿には、パンというものを純粋に捉えようとするストイックさ、パンの深部に入り込んで本質を見ようとする生真面目さが感じられるのだ。
茂木さんのチャバタにはそれが表れている。
茂木さんは自分が焼くチャバタを「白いごはんのようなパン」と表現するが、その感覚、食べてみるとよくわかる。個人的には水菜のサラダとハムを挟んで食べるのが好き。それはあたかも白いごはんを塩鮭と漬物で食べる感覚とよく似ている。
食べ手であればいろんなパンを食べてきて、作り手ならいろんなパンを作ってきて、最終的にたどり着くのは、パン好きであればあるほどベーシックなパンであるはずだ。砂糖も油脂も乳製品も使わない、材料もレシピも超シンプルな、茂木さんのチャバタのようなパンだと思う。
このチャバタさえあれば、それでいい。茂木さんのチャバタはそういうパンだ。その意味でも「白いごはんのようなパン」に違いない。
「はじめてのチャバタ」とは同時に「最後のチャバタ」でもあると思う。
『はじめてのチャバタ』
茂木恵実子著/主婦と生活社/¥1,870(税込)
(料理通信)