明るい時間にちょっと一杯。マドリードの新傾向“タルデオ”とは?
Spain [Madrid]
2026.11.06
text by Yuki Kobayashi
天気のよい午後となれば、老若男女が“テラスで一杯”はごく日常的な風景。おやつとコーヒーが、ビールやカクテルタイムに変わりつつある。
この数年、マドリードでは目まぐるしく飲食店の傾向が変化し続けている。従来は昼食が14時〜15時、夕食は20時〜21時ごろと、日本と比べて2時間ほど食事の時間帯が遅かったスペインだが、現在では観光客や外国人在住者の増加もあり、レストランもこれまでより1、2時間早めに開けたり、アイドルタイムのないオープンキッチンが珍しくなくなってきた。
加えて、このところの物価上昇を受けて外食費用も上昇。深刻な住宅問題から、ゼネラル・ストライキまで告知されている今(2026年10月現在)、住宅費が収入の多くを占める社会層が厚い。単純に言えば、一般的なスペイン人の収入ではこれまでのように外食やバル通いを楽しめないのが現状だ。
そんな中、近年じわじわと定着しているキーワードが「タルデオ(TARDEO)」だ。ことに若者層にとってこれまで「飲みに行く」と言えば、夕食を摂ってからバルに繰り出すことだったが、タルデオでは飲み時間を夕方、16時〜19時ごろに設定。これまでなら、シエスタやおやつに充てていた時間帯だ。日本で言うなら単に“ハッピーアワー”のことだが、食事時間には保守的だったスペインでは、特筆すべき新傾向となっている。
タルデオで繰り出せば外食代で財布を痛めることもなく、友人たちと気軽にアルコールを楽しめる。家族持ちにも好評で、タルデオなら、帰宅が遅くなり翌日の早朝出勤がつらいということもない。またスペイン人にとって、特に週末の昼食後に出掛けるのは恐ろしく面倒なことだったが、「タルデオしない?」と言われれば、なにか面白そうな響きがある。シエスタを犠牲にしてでも集まりたくなるような、格好の誘いとなる。
タルデオは外国人向けには「アフターワークパーティ」とも呼ばれ、これまでの夜のスポットだった店もこぞって午後のお得プランを用意している。バルにとっては、おやつと称してコーヒー1杯で長居されるよりも、スピリッツ類、アルコール類を売ったほうが収入になる。三方良しの得策だ。
各国同様、若者のアルコール離れの傾向があるスペイン。陽の光のもとで飲む、一見健康的にも見える新習慣タルデオが、アルコール飲料会社の福音となるか、興味深いところだ。
◎Tardeo Madrid
C. de Cedaceros, 7 · Centro de Madrid
タルデオの時間帯 金曜、土曜18:00~23:00
◎Bar Manero
Calle Claudio Coello 3, 28001, Madrid
タルデオの時間帯 13:00~翌1:00(金曜、土曜13:00~翌2:00)
*1ユーロ=約176円(2026年11月時点)
関連リンク