Norway [Oslo]
商品にCO2排出量が必ず記載される時代が来る?
2022.03.10
text by Asaki Abumi / photograph by Oatly
スーパーで商品を手にした時、原材料が記載されているのは当たり前の光景だ。そこにカーボンフットプリント(以下CFP)――調達・生産・流通・廃棄・リサイクルまでにどれほどのCO2が排出されているのかを示す“炭素の足跡”――も、必ず記載される時代がくると聞いたら意外だろうか?
北欧諸国では今、CFPを公開する動きが高まっている。「環境に配慮した買い物をしたい」と思う消費者は増えているものの、「個々の商品について個人で調べるのは大変だ」という声は以前からあった。そこで、メーカーは数値やマークを商品に記載したり、宅配サービスや決済アプリでは支払い後に数値を表示するなど、その動きは業種の垣根を越えている。
スウェーデン発、オーツミルクを販売するオートリー(Oatly)社は、1kg当たりのCO2排出量を商品に記載。化学肥料や農薬など農業投入物の生産・農業生産・輸送・加工処理・包装・店の棚に並ぶまで、農家から店までの製品ライフサイクルをベースに計算している。CFPの意味や計算法は企業によって異なり、公式HPで正直に説明する姿勢で企業の透明性も知ることができる。
今は企業が率先して行っているが、いずれは法令により表示が義務化される日が来るのではないかと感じることもある。環境負荷を減らしたい消費者が増える中、“知る手間”を企業がどれほど軽減することができるか。今後大事なビジネスモデルとなるだろう。
(写真)オートリー社のオーツミルクのCFP数値は第三者機関によって審査され、ホームページには「店から家までの輸送・調理・パッケージ廃棄のプロセスは計算には含まれていない」ことを隠さず記載している。
◎Oatly
スウェーデンのオーツミルクブランド。一部商品は日本でも販売されている。
◎Toro
ノルウェーの食ブランド。数値表示だけではなく、消費者がすぐに把握できるように排出量が少ない商品には緑色の地球マークをつけている。
◎Oda
ノルウェーの食品宅配サービス。支払い後に数値が表示される。
*1ノルウェー・クローネ=13円(2022年1月時点)
関連リンク