Italy [Torino]
“パスタの国”イタリアでハワイのPOKEが急成長
2022.04.14
text & photograph by Sayaka Miyamoto
今、イタリアでは「ポケ(POKE)」人気が止まらない。ぶつ切りにした魚介類を調味料に漬け込むハワイの料理「ポケ」をご飯にのせた「ポケボウル」のことだが、忙しいオフィスワーカーのランチから若者の夜遊び前の腹ごしらえまでと、引っ張りだこだ。
イタリアの経済新聞『Il sole 24 ore』紙によれば、イタリアでのポケの売り上げは、2020年には8600万ユーロ、2021年には1億ユーロを記録*。現在、大型チェーン9つの他、独立系ポケ専門店がイタリア全土で400軒以上しのぎを削っている。
人気の秘密を、ジャーナリストのリヴィニア・マルティーニさんは「イタリア人にとって理想的なランチなのです」と分析する。イタリアといえばパスタとピッツァの国だが、忙しい現代においては、短時間で栄養のバランスを満たすことができ、かつライトでヘルシーなポケはとても魅力的なのだと言う。白米、玄米、赤米などのベース、生魚、照り焼きチキン、グリル豆腐、ひよこ豆などのプロテイン、そして野菜やトッピングから、それぞれ好きなものを選んでアレンジできるから、ヴィーガンやグルテンフリーの対応も自由自在だ
「一流の調理人でなくても簡単に素早く作れるという点は、経営者、顧客双方にとって大きな利点です。そしてテイクアウトとデリバリーに適した形状であることが、コロナ禍での大成功につながりました。冷める、時間の経過で味が落ちる、移動によって形が崩れるということがないのは大きな強みです」
本物のハワイ料理を知る人にとっては、イタリア版ポケはちょっと違う、という声も聞こえてくる。だが日本のすしが“SUSHI”として定着したように、ポケもまたイタリアの日常食になっていくのだろうか。
(写真)トリノに4軒目の支店をオープンしたばかりの「カウラキッチン(Kaula Kitchen)」の「フラ・フラ・ポケ(Hula Hula Poke)」13ユーロ。
◎Kaula Kitchen
https://kaula.it/
*1ユーロ=135円(2022年3月時点)
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