France [Paris]
食もインテリアも自然回帰。社会との共存を意識した新ホテル誕生
2022.05.23
text by Yukino Kano / photograph by Gregoire Gardette
2022年1月、パリ郊外クリニャンクールの蚤の市横に、ホテル「モブ・ハウス(Mob House)」が誕生した。客室の内装は木、土、粘土など自然素材が中心で、レストラン「フイユ・ド・シュー(Feuille de Chou)」も木を多用した広々とした空間だ。
内装を手掛けたのはフィリップ・スタルク。スタルクのエッジの効いたイメージからはちょっと意外な雰囲気だが、併設のバーには従来のスタイルであるステンレスやガラスを用いて、ナチュラルなレストラン空間とあえて対比。社会とスタルク自身の、自然への志向転換を感じる。
メニューを手掛けるのは、「ラ・レゼルヴ・パリ(La Réserve Paris)」のシェフで二ツ星を得るジェローム・バンクテル(Jérôme Banctel)。パリ近郊産のビオ食材を使い、熟成コンテチーズの蒸しスフレ&鶏のジュ、キャベツと季節野菜の重ね焼き&ジューシーに焼いたホロホロ鳥など、フランス料理の伝統を大切にした、風味豊かでかつヘルシーな料理を提案する。
余った食材は、近隣住民に利用してもらっている敷地内の菜園の肥料にしたり、併設の鶏小屋の飼料にするなど、社会や環境への取り組みにも意欲的。大きな話題を集めている。
(写真)レストラン「フイユ・ド・シュー」は、オープンキッチンを臨む200席のナチュラルテイストな客席に、メタリックな雰囲気のバーが隣接する。広いテラスもある。
◎Feuille de Chou
Mob House内
70 rue des Rosiers 93400 Saint Ouen
前菜 9ユーロ~、メイン 18ユーロ~、デザート 9ユーロ~
平日ランチコース(2皿) 29ユーロ
https://www.mobhouse.com/en/fooding/restaurant.html
*1ユーロ=138円(2022年4月時点)