水溶き片栗粉を乾かし茹でるだけ 「板春雨」
フェーズフリーな食材レシピ:片栗粉
2022.06.09
photographs by Hide Urabe
乾物や漬物など、常温で長期保存でき、ビタミンやミネラルなど栄養価も高い食材は、備蓄食品にも向く優れもの。普段から食事に取り入れ、使い慣れることで、「いざという時に賞味期限が切れていた」「食べ慣れない味で食が進まない」という問題も避けられます。「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリー*な食材を、おいしく活用するレシピ。今回は、片栗粉で中国食材の「板春雨」作りに挑戦。暑い季節にもおすすめの涼やかなレシピです。
常備したい食材:片栗粉
教えてくれたシェフ:東京・湯島「味坊鉄鍋荘」梁 宝璋(りょう・ほうしょう)さん
中華人民共和国・黒竜江省・チチハル出身。油絵の画家として活躍していたが、残留孤児だった両親とともに1995年に来日。故郷の市井の味をつなぐべく、2000年、東京・神田に中国東北料理店「味坊」を開店。現在、「羊香味房」「老酒舗」など9店を営む。
ぷるぷる、つるんとした舌触りは自家製ならでは
みずみずしい透明感。タレもよく絡んで、口に運べば、むっちり、ぷるんと舌の上で弾けます。「味坊」自慢の板春雨は、店の名人スタッフが、1枚1枚丁寧に茹でて手作りしています。出来たての生春雨は、乾燥の流通品にはないおいしさがありますね。
水溶き片栗粉を薄く乾かし、茹でるだけ。短い時間でシンプルに作れるもので、昔は料理店や家庭でもよく作ったものだけど、手間も技術も要るから、皆、作るのをやめちゃった。
確かに、生地を薄く伸ばし、それが乾く前に、型に湯が入らないよう湯煎するというのが難しい! 僕らは冷たい和え前菜や、炒めものに使ってます。胡麻だれや辣油、酢との相性は抜群です。
板春雨で作る「涼拌拉皮(リャンバンラーピー)」 材料と作り方
[材料](7枚分)
片栗粉・・・10g
塩・・少量
水・・30m(目安)
<仕上げ> 全て適量
ニンジン、キュウリ、キクラゲ(戻す)、キャベツ、紫キャベツ(すべてせん切り)
芝麻醤
辣油
香菜(ざく切り)
豚ロース肉(茹でてせん切り)
片栗粉
野菜のデンプン質を粉にした片栗粉。梁さんの故郷、東北地方ではよく採れるジャガイモで作られる。中部は緑豆、南部はサツマイモと、原料にはお国柄が表れる。
[作り方]
[1]片栗粉を水に溶かす
ボウルに片栗粉と塩を入れ、分量の水を注ぎ、よく溶かす。
[2]型を温める
大鍋に湯を沸かす。春雨を流す型を湯にくぐらせ、しっかり温めておく。
[3]生地を広げ、湯煎する
型に1を流し入れて薄く広げ(厚さ2~3㎜程度)、沸いた湯の上にそっとのせて湯煎する。
[4]湯に沈める
3に火が入り、透き通ってきたら湯に型ごと沈め、ひと煮立ちさせて型を引き上げる。
[5]型からはがす
すぐに流水に取り、水圧を使って、型から春雨をそっとはがしていく。
[6]水洗いして締める
流水で5を水洗いし、ぬめりを除いて、生地を引き締める。
[6]短冊に切る
幅2~3cm の短冊切りにする。この状態でも保存可。乾くので使用直前に茹で直すとよい。
[8]盛り付ける
細切りにした野菜類を敷き、7をのせ、芝麻醤と辣油をかけ、好みで香菜と豚肉を添えて混ぜる。
<シェフの道具>
大鍋(大ボウル)、レードル、流し型
型は、金属製で大鍋にすっぽり沈む大きさを。立ち上がりがある方が湯に浮かべやすい。大鍋以外にボウルや深さのあるフライパンでも可能。
◎味坊鉄鍋荘
東京都台東区上野1-12-9
☎03-5826-4945
17:00~23:00
木曜休
東京メトロ湯島駅より徒歩4分
Facebook:@ajibonabe0513
※「涼拌拉皮」は店舗での提供はありません。
※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
*フェーズフリー(Phase Free)は、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に提唱した考え方。
(雑誌『料理通信』2018年12月号掲載)
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