INDIA [Purba Medinipur]
“宝石”という名の伝統スナック「ゴホナボリ」を女性たちの手で復興
2022.06.13
text by Akemi Yoshii
空気が冷たい冬場のみに作られる、西ベンガル州プルボ・メディニプル県の伝統スナック「ゴホナボリ(Gohonabori)」。ゴホナとはベンガル語で、“宝石”を意味する。
一晩水に浸けたウラド豆を、石臼で挽いてペーストにして袋に入れ、敷き詰めたポピーシードの上に絞り出しながら繊細で美しい模様を描く、文字通り宝石のように美しいスナックだ。揚げてお茶請けにしたり、食事と合わせて食感を楽しむ。
文豪タゴールをはじめ、多くの人々に愛され、嫁入り時の持参品の一つとして用いられるなど、ゴホナボリは地域の象徴的存在でもある。その一方で、手間がかかることから、次第に作り手が少なくなってきていた。
2021年11月、プルボ・メディニプル県の農村自立発展支援組織トゥリヨ財団(Turiyo Foundation)は、大手スナック製造会社と合同でゴホナボリを復興させるプロジェクト「オロンカル・ゴホナボリ(Olonkar Gohonabori)」を立ち上げた。
村の女性約50人が手作りしたゴホナボリを、ベンガルの伝統的絵画様式を意識して描かれた地元のアーティストのイラスト入りボックスに詰めて、都市部の消費者向けに2022年1月から販売を開始。第1回製造分は完売した。5月現在、第2回製造分を主に西ベンガル州の州都コルカタで販売中だ。
次回のゴホナボリ作りは2022年11月に予定。インド各地の都市や、海外での展開も視野に入れている。
(トップ写真)プロジェクトは女性の自立支援促進のコミュニティ事業でもあり、専門家からゴホナボリ作りのトレーニングを受けた約50人の女性が参加している。
◎Olonkar Gohonabori
ゴホナボリ 90ルピー/6個入り
http://gohonabori.in/
*1ルピー=1.64円(2022年5月時点)
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