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食のバリアフリープロジェクト:FREEなレシピ 13
元「ア・ポワン」岡田 吉之 × ワンハンドクッキング

料理する喜びは生きている証。

Feature / MovementAug. 13, 2019

text by Sachiko Inomata / photographs by Takeharu Hioki

テーマ:【ワンハンドクッキング】

2009年3月に脳出血で倒れて右半身麻痺になった元パティシエの岡田吉之さん。
10年近くふさぎ込みがちだった岡田さんが前を向き始めたのは、料理がきっかけでした。





切ることは人間の基本です。

岡田吉之さん。プロとして培った発想と探求心を発揮して料理に邁進中。



自分で皮を剥いて切ったジャガイモで味噌汁を作った時、剥きたてだと「角があってフレッシュ。生きているって、これだよな!」。涙が出るほど感動したものです。
2018年10月に購入した皮剥き器とピーラーを使って片手で皮がきれいに剥けた時のことでした。

1992年に菓子店「ア・ポワン」を西八王子にオープンし、お菓子作りに打ち込んできました。しかし、09年3月に脳出血で倒れて右半身麻痺に。右の回復はむずかしいと医者に引導を渡され、断腸の思いで閉店しました。
リハビリ病院では、同じような病気で倒れた患者は表情が暗く、何をする意欲も絶たれてふさぎ込みがち。僕もそんな一人でした。

それでも食べなければ生きていけません。
自宅に戻ってからは月に1度ほど姉にニンジン、ジャガイモ、タマネギなどの常備野菜の皮を剥いてもらい、冷蔵保管して料理していました。でも1週間も経つと傷んできます。ジャガイモは表面がぬるっとして、懸命に洗って使うものの、煮ても食感がなくておいしくないのです。生きるために仕方なく作っていた。でも本当はおいしく作りたかった。

昔、学校から帰ってきた僕のために、共働きのお袋がささっとジャガイモとタマネギの味噌汁を作ってくれました。もちろんフレッシュな舌触り。タマネギがとろっとしておいしかった。あの味を食べたい、というのが自分で料理を作りたいと思った原点でした。

当初、姉が下処理した野菜を切る時に使っていたのは果物ナイフです。もう料理はしないと思い、包丁はすべて人にあげてしまったから。もちろん果物ナイフではよく切れません。
そこで重量のある左利き用の出刃庖丁を2種類買いました。片手なので押し切りになり、重さが必要なのです。より重い刃渡り165㎜でリンゴなどの大きなものを、150㎜で小さめのジャガイモなどを切ります。

野菜を固定する道具も買いました。初期のそれは金具が尖がっていて、刺したニンジンを濡れ布巾の上から麻痺した右手で押さえても、左手でピーラーを動かすと抜けて転がってしまう。ピーラーで指を剥いたり、釘状の金具に手を刺したりしたものでした。
床に落とせば、右半身が麻痺しているので拾うのが恐い。倒れたら立ち上がるのに何時間もかかるからです。
片手って、両手の半分の力で動くわけじゃない。半分のさらに50%くらいしか働かない。何をやるのにも時間がかかります。

片手でも使える道具を探し続けて、やっと2年前に満足がいきそうな調理道具をネットで見つけ、いくつか購入。スライサーでいろんな切り方ができるようになり、皮剥き器の固定する金具も先端が鋭くないものと出会って、手に刺すこともなくなりました。倒れてから実に9年もかかってしまいましたが。
タマネギなど丸いものは、皮ごと縦半分に押し切りにして断面を下に伏せ、転がらないように切るなどの工夫も重ねています。

懐かしい母の味を食べたいという一心でここまで蘇生し、道具たちのお陰で、見た目は多少無骨でも自分の思うように切れて作れる喜びがある。こんな日が来るとは思ってもみませんでした。
キャベツは特大のスライサーで極細のせん切りにすると、トンカツがいっそうおいしく感じます。
片手でもおいしい料理を作りたいという気持ちが沸々と湧いてきています。

◎ タマネギの転がらない剥き方

タマネギが転がらないようにまず頭部に包丁を突き刺し、叩きつけるように包丁を下ろして、縦半分に切り分ける。
断面を下にまな板に置き、根元に包丁を刺して押し切る。
左手の平の付け根でタマネギを押さえつけながら、左手指で皮を手前に引きはがして剥く。

包丁はステンレス製片刃包丁、TOJIRO PRO DPコバルト合金鋼2層複合出刃150㎜(230g)、165㎜(250g)左用/藤次郎社製。
洗う時は刃の方向にスポンジを動かす。

包丁はこまめに研ぐ。シャープナー/貝印社製なら、レバーを下げて吸盤で固定すると片手で研げる。ダイヤモンド歯の「粗目」「仕上げ」の順で、1週間に1~2回研ぐ。


◎ 剥いたニンジンの鮮やかさに感動!

皮剥き器(下参照)を濡れタオルの上に置く。
3本の釘状の固定金具にニンジンを突き刺し、右手で押さえながら、左手でピーラーを使って上半分の皮を剥く。
上下を返して同様に突き刺して反対面も剥く。
ニンジンをまな板に移し、頭部に包丁を突き刺して押し切りした後、目的に応じた切り方で。

食材固定金具付きの皮剥き器。アビリティーズ・ケアネット社製。メッシュ状皮剥き台を外して使用している。シンプルな構造だが、活用度は大。


◎ ジャガイモの芽のくぼみもピーラーで。

ニンジンで使用するのと同じ皮剥き器の固定金具にジャガイモを突き刺し、ニンジン同様にピーラーで剥く。
ジャガイモは凹凸があるので、こまめにピーラーを動かし、芽も一緒に剥く。
すぐに使わない場合は、水を張ったボウルに入れて、日付を記して冷蔵庫で保存。
2~3日以内に使い切る。
ピーラーはドイツのリッター社製。


◎ リンゴはアップルピーラーで。

アップルピーラーの刺しピンにリンゴの下部中央を真っ直ぐに刺して、ハンドルを回す。
リンゴが回転すると同時に刃の付いたアームが動いて皮が剥ける。リンゴのサイズは直径8~9㎝が望ましい。
まな板に移して、包丁で縦半分に切ってから、くし形4~5等分に。芯を包丁で押し切りにした後、一口大にカット。

活用している皮剥き器のひとつで、アップルピーラー/パール金属社製。
本体24×12×17㎝。吸盤付き。
突起にリンゴを刺し、左手でハンドルを回す。

切っただけで立派な料理になります。





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