日本 [福岡]
世界で初めての種がほとんどない甘柿「秋王」誕生!
在来種を守ることと新品種への挑戦が未来をつくる
2016.06.25
お医者さんの庭から生まれた日本を代表するミカン
「宮川早生」(温州ミカン)
温州ミカンの代表的品種「宮川早生」は、福岡で誕生しました。
大正4年、福岡県山門郡城内村(現在の柳川市)の医師・宮川謙吉が、自宅に植えていた在来系温州ミカンの中に実が早く色づく枝を発見。当時、柑橘研究の世界的権威である田中長三郎博士によって調査され、大正14年、「宮川早生」として発表されたのです。
育てやすく収量性が良いなど優れた特徴を持つため、昭和初期以降、全国的に栽培されるようになりました。温州ミカンで最も栽培される「宮川早生」ですが、福岡が本家本元というわけです。
さらに、福岡県内で育成された「北原早生」や「早味かん」を始め、不知火(デコポン)なども元をたどると「宮川早生」の血を受け継ぐ品種です。
世界初の種がほとんどない甘柿
「秋王」(カキ)
一方、福岡自慢の新品種は、福岡県が開発した世界で初めての種がほとんどない甘柿「秋王」です。鮮やかなオレンジ色で、1果が350gほどと大きく、糖度は約18度と甘い! 食感はサクサク。三拍子も四拍子も揃った柿です。
福岡県は甘柿の栽培面積2位を誇る産地です。しかし、近年、消費が低迷。そこで、消費回復を目指して、平成13年度から福岡県農林業総合試験場が良食味の品種の研究に取り組んできました。その結果、誕生したのがこの「秋王」なのです。
甘くてサクサクした食感でとてもおいしいだけでなく、種がほとんどない甘柿として「これで現代人も面倒がらずに食べてくれる」と需要回復に期待が寄せられています。