HOME 〉

JOURNAL / JAPAN

日本[福島] 【ふくしまプライド。ツーリズム】

生産者さんの熱い想いに触れる

Mar 04, 2021

フランス料理店「HAGI」オーナーシェフの萩春朋さん

フランス料理店オーナーシェフ萩春朋さんの店「HAGI」は太平洋に面した浜通り、いわき市にあります。
東日本大震災を機に、萩シェフは「生まれ育った福島の食材をもっと多くの人に食べてもらいたい」との思いを強くしたと言います。以来、「これが旨い!」との情報が入ると縦横無尽に車を走らせ、自分の舌で確かめ、生産者に会う機会を大切にしています。
中通りを巡ったこの日、同行したのは土湯(つちゆ)温泉「山水荘(さんすいそう)」料理長で、地元福島市出身の志田勇さん。二人は「ふくしまプライド。」の生産者さんを訪ねました。


フランス料理店「HAGI」オーナーシェフの萩春朋さん


土湯温泉「山水荘」料理長の志田勇さん



里の放牧豚(ふるや農園)

「脂が甘くておいしいし、肉に力強さがある」と萩シェフが太鼓判を押す「里の放牧豚」を育てる降矢セツ子さん。里山の再生と循環型農業を目指し、2009年に「里の放牧豚」と銘打って放牧養豚を開始するも様々な試練や苦難に直面。それを乗り越え、徐々に「里の放牧豚」の味が知られるように。取り扱うお店も増えてきました。しかしながら2018年、豚を守るためにやむなく里山での放牧を中止。今は豚を、走り回れるほどの余裕のある広い豚舎で肥育しています。「愛情をいっぱい受けて育った肉は確かにおいしいですね」と須田さん。


「豚はあまり儲からないよ(笑)。でもかわいいし、育てるごとに豚のことがどんどん分かってくるから、これからも続けたいですね」。萩シェフのように味に惚れた根強いファンがいることも大きな励みになっています。



◎ふるや農園
https://www.furuyanouen.net/



阿久津曲がりねぎ(郡山市伝統野菜)

種まきから出荷まで、1年間かけて作られる郡山の伝統野菜「阿久津曲がりねぎ」。曲がった形は5月に植えた苗を夏場に一度植え替える「やとい」という作業から生まれます。


「阿久津曲がりねぎは、霜が降りて葉が枯れるころに甘みが増しておいしくなるんです。丸ごと焼いて塩ふって食べると飛び切り旨くて驚くよ」。そう話す生産者の橋本昌幸さんは仲間と「阿久津曲がりねぎ保存会」を作り、種子の保存と栽培方法の伝承に力を注いでいます。


「曲がっているから、1本ずつ手作業で皮むきをする。でもね、この水は地下水だから温かいんだよ」と話してくれた橋本さん。「県外にも待っている人がいるから、この時期は忙しくて仕方ないよ」と笑う顔は少し誇らしげに見えました。



◎阿久津曲がりねぎ
https://www.city.koriyama.lg.jp/sangyo_business/nogyo_ringyo/8/10128.html



短形自然薯・里芋など(結城農園)

「私が作る野菜は皆、甘いんです。子供たちが喜んで食べるって保育園から注文が来るんです」。そう話す結城勝さんの野菜は、地元直売所に出すと同時に完売すると評判の逸品ぞろい。小雪がちらつくこの日、テントの中には出荷を待つ短形自然薯や里芋、特大サイズのジャガイモ、粘りがとても強い長芋トロフィーなどがどっさり。根菜は11月~3月、葉物野菜は5月~9月が収穫期です。


「甘みのある野菜はおいしくて体にも良い」が持論の結城さんにとって、野菜の味を作るには肥料研究が欠かせません。「自然薯なら種イモで育つ最初の1か月は肥料を入れず、その後に自家配合のぼかし肥料で芋の味を作っていく。粘りを強くするのも甘みを強くするのも作り方次第だね」


「里芋のおいしさは皮を剥く時点で分かる」と評判の結城さんの里芋は、地元の芋煮会の必須アイテムです。



◎農産物直売所ここら吾妻店
(結城さんの野菜の販売は、収穫などに応じて不定期となります)
福島県福島市在庭坂字薬師田1-1
☎024-592-1088



職人の手作業 糀(こうじ)(糀和田屋)

奥州街道のかつての宿場町本宮町にある「糀和田屋(こうじわだや)」は創業250年。麹菌を混ぜた蒸し米を糀蓋に入れ、糀室で培養する昔ながらの製法です。「作業はすべて手作業のため、手間はかかりますが、味も香りも良いのが特徴です」


そう話す三瓶正人さんは10代目ご当主。糀は業務用に卸すほか、乾燥糀や塩麹、甘酒、糀味噌にして販売。米と糀を交換したり、預かった米で糀も造ります。この時期は大根漬け用の糀を求めて、米を持ってくる方が多い。その糀で、自分の畑の大根を漬ける。なんと豊かな食卓なのでしょう。


糀味噌と醤油を仕込む蔵には、ずらり並んだ仕込み桶は100年以上の年季が入っています。「寒の時期に二人がかりで仕込む味噌は1日あたり約700キロ。温泉旅館に収めるほか、小売りもしています。台車の付いた醤油搾り機は2011年まで現役。冬、搾りたての醤油を届けていました。



◎糀和田屋
http://www.koujiwadaya.co.jp/



さくらんぼ・桃など(まるげん果樹園) 

福島市の西側、吾妻連峰の麓を走る県道5号線は果樹畑が広がり、別名フルーツラインと呼ばれます。5月には桃、梨、リンゴ、サクランボの花が一斉に咲いて、まさに桃源郷そのもの。60年以上続く「まるげん果樹園」の浅倉寿二さんは2.5ヘクタールの果樹園でリンゴ、サクランボ、桃、梨、ぶどうを育てています。萩シェフは、店で使うリンゴは福島産と決めています。


「リンゴ畑は子供の頃、僕らの遊び場でしたよ」と志田さんは楽しい思い出を教えてくれました。「りんごはコンポートにしても喜ばれますよね」


リンゴの木は葉が落ちた後に剪定をして、芽吹くころに四方八方から陽があたり、おいしい実がたくさんなるようにします。話を聞いた萩シェフは、剪定で落とした枝で豚肉を燻してみようと思いつき、浅倉さんから薪用に取っておいたリンゴの枝をもらいました。



◎まるげん果樹園
https://f-marugen.com/



有機栽培の野菜(ニッケイファーム)

「大竹さんが作る野菜は力強くておいしいし、すごくきれいなんです」と萩シェフが説明すると、「とにかく食べてみて!」と二人に大竹さんが差し出したのはほうれん草の茎の部分。見るからにみずみずしく食べると甘い!「すごく甘いね。こういう食べ方は知らなかったな」と志田さん。


このほうれん草は葉が青々と育った時点では収穫せず、雪にあててアクが抜けるまで待ったため葉は萎れています。「だからこれは葉ではなくて甘い茎を食べるほうれん草なんです」。大竹さんが目指すのは「脇役でない主役を張れる野菜」。13年前に無農薬有機栽培の畑を両親から引き継ぎました。「無農薬だから多少おいしくなくても仕方ない、では納得がいかない。お客さんがおいしいと喜んでくれて、次の年も楽しみにしてくれるような野菜を作りたい。だから自分なりの方法を模索し、勉強もしました。堆肥も牛糞や鶏糞も使わずに、収穫しないでおいた麦や野菜をすき込んだ緑肥で土づくりをしています」


「理想は子供たちが来て生き物と遊んだりできる畑。そこで食べた野菜がおいしければ、野菜嫌いにはならないし、その子供たちが大人になったらおいしい野菜の価値が今よりずっと上がると信じています。僕だけではなく、福島には手間を惜しまず頑張っている農家さんが多いんですよ」



◎ニッケイファーム
https://www.facebook.com/nikkeifarm/




◎風望天流 太子の湯 山水荘
福島県福島市土湯温泉町字油畑55
☎024-595-2141
http://www.sansuiso.jp/

◎HAGI
福島県いわき市内郷御台境町鬼越171-10
☎0246-26-5174
LUNCH 12:00~/DINNER 18:30〜(昼・夜ともに完全予約制)
http://www.hagi-france.com/


◎ふくしまプライド。
https://fukushima-pride.com/




料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。

JOURNAL / JAPAN