「元気で長生き」を応援する「えごま油」
[佐賀]未来に届けたい日本の食材 #51
2025.04.03

変わりゆく時代の中で、変わることなく次世代へ伝えたい日本の食材があります。手間を惜しまず、実直に向き合う生産者の手から生まれた個性豊かな食材を、学校法人 服部学園 服部栄養専門学校理事長・校長、服部幸應さんが案内します。
連載:未来に届けたい日本の食材
ヘルス・コンシャスな人たちが注目する不飽和脂肪酸「オメガ3」。中でも、現代人の食生活に不足しがちなα-リノレン酸を多く含むのが、えごま油です。健康長寿のため、長い農業生活のキャリアを生かして、無農薬栽培のえごまで、えごま油を作る「豊ふぁー夢(ゆたかふぁーむ) 」卯津江(うづえ)豊彦さん、敏子さん夫妻を訪ねました。

農業を始めて今年で61年(※取材当時)になります。米や野菜はもちろん、乳牛は30年、和牛は20年、一貫生産でやってきました。今は、その牛舎跡を、漬け物を中心にした六次化を目指し、作業場に改装しました。
これまで、常に健康作りに役立つ農作物をと心がけてきたのですが、年を重ねるにつれ、益々、健康の大切さを実感しましてね。長生きするのはいいけれど、健康で長生きしたい。100歳まで元気に働くにはどうしたらええかと思っている時に、えごまの効用を知ったんです。
えごま油にたっぷり含まれるα – リノレン酸は、食品からしか摂取することができない必須脂肪酸で、身体の中で一部がDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)に変化するんだそうです。これが、血管を若返らせてくれる。だから、心疾患や脳梗塞など、老化予防に効果があると学会で発表されていると知りまして、こりゃあいい、長寿社会に少しでも貢献できると思い、有志5名でえごま栽培を始めたんです。



「命は土から」といって、農業にとって土作りは何よりも大切。そこで、化学肥料をやらんで、有機肥料つまり堆肥を使い、農薬を使わずに、ミネラルたっぷりの土で育てています。えごまはシソ科の植物ですから、葉っぱはシソの葉によう似とるでしょう。油は実から搾りますが、機械化すると実が傷つくので、全部、手作業です。えごまは1年草ですから、実がなると刈り取って、斜めに立てて干します。1週間ぐらいすると、実が落ちやすくなるので脱粒し、唐箕(とうみ)にかけてゴミを取り除きます。それから3回洗って、天日で陰干し。そして、長持ちに入れて保存します。収穫量は1反あたり100キロぐらいでしょうか。仲間を増やし、耕作放棄地などを活用して、生産量をアップしたいですね。
搾油はメーカーに依頼して、昔ながらの圧搾製法で搾ってもらっています。この油は非常に酸化しやすいデリケートな油。酸化しないよう、12 ℃の保冷庫でキープしています。毎日ティースプーン1杯ぐらいを味噌汁やヨーグルトなどに加えて、召し上がってみてください。自分も毎日食べて、効果を実感しています。
仕事を始めた頃は、収穫量優先の農業が奨励されてきましたが、今は健康にいいものを作り、提供する時代。よき農作物を食べることで、80歳の自分も含め、高齢者の方も元気になっていただきたい。そのために、これからも日々勉強、勉強です。



◎豊ふぁー夢(ゆたかふぁーむ)
佐賀県嬉野市塩田町大字久間乙1867
☎0954-66-5188
(雑誌『料理通信』2018年10月号掲載)
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