日本 [新潟]
新潟の農産物を育てる〈新潟さん〉を訪れる旅 #新潟さんち vol.3 100年を経て結実した味わい「ル レクチエ」
2020.12.04
【PROMOTION】
photographs by Masako Naito (Niigata), Tsunenori Yamashita
新潟を代表する3つの農産物を育てる生産者<新潟さん>を訪ねるシリーズ「#新潟さんち」。3回目は、高級西洋なし、「ル レクチエ」の産地をパリのトップパティシエ、青木定治シェフと料理家 遠藤千恵さんが訪ねます。
フランス生まれ、新潟育ち
果肉はとろりと滑らかで、甘い果汁をたっぷり湛える。新潟県のブランド西洋なし、「ル レクチエ」は際立った味わいと希少性で高級品として知られている。市場に出回るのは11月下旬から1カ月余り。樹上で完熟させず、果実がまだ青く硬いうちに収穫し、約40日間追熟させてから販売解禁日に一斉に出荷する。
収穫間近の10月中旬、パティシエの青木定治さんと料理家の遠藤千恵さんがル レクチエの主要生産地、新潟市南区を訪れた。「パティシエの仕事は〝素材のブレンダー〞。旨い素材が作られる過程を知ることが大事です」と青木さんは興味津々だ。
新潟市南区茨曽根(いばらそね)
発祥の地で受け継がれる想い
ル レクチエの歴史は、明治36年頃、新潟県白根市(当時)の農家、小池左右吉(さゆうきち)氏がフランスから30数種類の梨の苗木を取り寄せたことに始まる。栽培した中で一番おいしかったのがル レクチエだった。小池氏が新潟市の高級青果店に売り込みに行くと、古町の料亭で出されるような評判の果物になった。「ものおじせず、何でも挑戦する人でした」と、孫で92歳の小池美與志(みよし)さんは祖父の思い出を語る。
とびきりおいしいものの、栽培は難しく、生産量は少なかった。昭和59年、ル レクチエの普及を促進するため新潟の生産者が集まって「西洋なし研究会」を立ち上げ、栽培技術や追熟の研究に取り組んだ。次第に栽培農家が増えて収穫量も増加し、新潟を代表する農産物に育て上げた。「ここに至るまでには、大勢の人の力が必要でした」と小池さんは振り返る。
フランスから取り寄せた苗木の兄弟木が一本だけ残り、樹齢100年を超えた今もなお、実をつける。「左右吉さんが手塩にかけて育てた木が生き続けているとは」と青木さんは、新潟の生産者が力を合わせてつないできたル レクチエの歴史に思いを馳せた。
JA 新潟みらいネットショップよりご購入いただけます。
新潟市南区月潟
一つひとつ、手塩にかける
天井のように張り巡らされた枝に袋掛けされた梨が無数に実る梨畑を中腰で進む。「一本の木から500個程度とれますが、秀品になるのは半分程度です」と果樹農家でJA越後中央の西洋なし専門部長の谷稔さん。ル レクチエの表皮は傷みやすく、すれやアザがあると正品にならない。受粉、摘果、袋かけ、収穫、追熟、出荷まで、すべての工程で果実一つひとつを見守るように栽培する。
生産量の約8割が新潟県内で栽培されている。「桃栗3年、柿8年、レクチエの馬鹿野郎18年」といわれがあるほど栽培が難しく、今や原産のフランスでさえほとんど栽培されていない品種が新潟で実を結んだのは、気候風土の要因が大きいと谷さんは考える。信濃川がもたらす肥沃な土壌、夏でも適度な湿度、追熟させる11月の気温など栽培に適した条件が揃い、唯一無二の味わいを育む。「生産者さんのたゆまぬ努力と愛情の賜物でもありますね」と遠藤さん。「おいしさを追求するために手間暇を惜しまない、新潟の生産者さんの実直さに感動するばかりでした」と3回の旅を振り返った。
ル レクチエを味わう
@パティスリー・サダハル・アオキ・パリ
「サダハル・アオキ・パリ」全店でル レクチエを使ったスイーツをメニューオン。青木シェフが考案したル レクチエの魅力を引き出すスイーツは、12月4日~12月31日の期間限定※で味わえます。※ 12月21日~25日は横浜高島屋店(12月8日オープン)でのみ販売。
◎ パティスリー・サダハル・アオキ・パリ丸の内店
東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F
☎ 03-5293-2800
www.sadaharuaoki.jp
遠藤千恵さん考案 家レシピ
ル レクチエのスパイスコンポート
白味噌キャラメルソース
材料(2人分)
<コンポート>
ル レクチエ……1個
A
スターアニス……1/2個
シナモンスティック……1本
水……300ml
ほうじ茶葉……3g (大さじ山盛り1杯)
グラニュー糖……60g
レモン(スライス)……1枚
<白味噌キャラメルクリーム>
生クリーム(乳脂肪分45-47%)……50g
グラニュー糖……50g
水……大さじ1
B
白味噌……小さじ1
日本酒……大さじ1
レモン果汁……小さじ1/4
黒コショウ……適量
作り方
① コンポートを作る。鍋にAを入れて火にかける。沸騰したら弱火にして5分煮出す。ほうじ茶葉を加えて火を止め、30秒蒸らしてザルで漉す。
② ①を鍋に戻し、グラニュー糖を加えて中火にかける。グラニュー糖が溶けたら、皮をむいて縦半分に切り、種を取ったル レクチエ1/2個、レモンを加える。
③ 落とし蓋をし、竹串がスッと刺さるまで弱火で煮る。そのまま冷ます。
④ 白味噌キャラメルクリームを作る。生クリームを沸騰直前まで温める。
⑤ 小鍋にグラニュー糖、水を入れ中火にかける。色付いてきたら小鍋を揺すりながら、全体を均一に焦がしていく。(ヘラで混ぜると砂糖が結晶化するので使わない)
⑥ 濃いカラメル色になったら4の生クリームを加えてヘラで混ぜる。Bを加えてなじませたら火を止める。
⑦ 残りのル レクチエにレモン果汁を加えて、ミキサーでピュレ状にする。
⑧ 器に⑦を適量広げ、コンポートをのせる。白味噌キャラメルクリームをかけ、黒コショウを軽くふる。
ル レクチエのお求めはこちら!
「旬八青果店」大崎広小路店、旬八オンラインにて
「ル レクチエ」を販売中。
◎ 旬八青果店:http://shunpachi.jp/
◎ 旬八オンライン:https://shop.shunpachi.jp/
※入荷状況により取扱に変更が生じる可能性があります。予めご了承ください。
◎ 問い合わせ
新潟県農林水産部 食品・流通課
☎ 025-280-5305