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JOURNAL / 世界の食トレンド

America [Providence]

難民と米国民をグラノーラでつなぐ、10周年を迎えたソーシャルベンチャー

Aug 18, 2022

text by Kuniko Yasutake / photograph by Beautiful Day

ロードアイランド州で手作りグラノーラを販売する非営利団体「ビューティフル・デー(Beautiful Day)」の二大事業目的は、州在住難民の就業・自立支援と、難民の実体験や政策を米国民に伝える啓蒙活動だ。

「プロビデンス・グラノーラ・プロジェクト」として試験的にスタートした2011年から今日まで、14カ国から逃れてきた20を超える民族の難民120人をサポートしてきた。10周年を迎えた2021年度は全米45州に顧客を数え、収益1億円を超えるまでに成長を遂げた彼らのビジネスモデルは、他の地域や異なる業種でも模倣可能とメディアに取り上げられている。

この難民研修プログラムの参加者は、グラノーラ製造・販売スキルや英語力に加え、米国の職場文化への適応能力向上を目指す様々な実地訓練を受けられる。年間4500時間の研修には賃金が付き、2021年は全体の7割が就職先の確保に成功した。

近年は難民家族で育つ中高生向けに、アフタースクール・プログラムも提供開始。新生活の支えになるよう仲間との帰属意識を育みつつ、就職準備クラスや地域イベントなどでの販売実習を体験できる内容だ。

現在、月替わりフレーバーを含む5種類のグラノーラ、6種類のグラノーラ・バー、2種類のミューズリ、難民らの出身地産コーヒーのサブスクリプション販売を行っている。今後は卸売りにも力を入れ、将来“新米国人”となる難民研修生の声も反映させつつ、さらなる事業展開を目指している。

(写真トップ)創始者のお子さんが好きなバンドU2の曲が商品名の由来。「前途見えず今は居場所がなくても、すばらしい日だ。希望を捨てるな」という歌詞は、祖国を離れ米国に無事辿り着いた難民たちへの励ましの言葉のよう。

難民登録を済ませ永住権を得た人が、米国市民権取得資格を得るには一般的に5年を要する。帰化した人を“新米国人”と呼ぶ思考の背景には、難民・避難民といった移民の理由が何であれ、同じ国籍の新しい仲間となったことを意識する共生的価値観がある。



◎Beautiful Day
グラノーラ 9.95~10.95ドル/340g、ミューズリ 8.95~9.95ドル/340g
グラノーラ・バー 2.95ドル/1個(55g)
コーヒー豆サブスクリプション 16.20ドル/月(454g)
https://beautifuldayri.org

*1ドル=138円(2022年7月時点)

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