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JOURNAL / 世界の食トレンド

England[London] “リフィル(詰替え)”が新潮流。電動自転車で生クラフトビールをリサイクル瓶で配達

2022.09.22

text by Yuka Hasegawa

地元のクラフトビール醸造所で造られた生ビールを、再利用できる瓶に詰め、電動自転車で牛乳配達のように家庭に届ける「ドラフト・ドロップ(Draught Drop)」が、今ロンドンで人気を呼んでいる。


2020年3月の立ち上げ当初は、生ビールをパブに配達する構想だったが、同時期、パンデミックが世界中を襲い、英国ではロックダウンが始まった。
「パブやレストランも営業停止となり、スタート早々、窮地に追いやられました。醸造所も、ホスピタリティ業界の全面閉鎖で頭を抱えていました。そこで思いついたのが、サブスクリプションベースで、一般家庭に生ビールを配達するというサービスです」と語るのは、夫のトムさんと共にブランドを立ち上げたメル・ストラザーズさん。

ロックダウン中には、地元の小規模な醸造所とビール好きを繋ぐパイプライン的な役割を果たし、メディアでも話題となった。現在は北ロンドン、東ロンドンの30以上の醸造所から、IPA、ラガー、エールなど125種類のビールを取り揃え、ラインアップは週ごとに替わるという。

「昨今、ロンドンの潮流の一つである“リフィル(詰替え)・ムーブメント”の一端を担うことができて嬉しい」と話すトムさん。
「再利用したボトルを電動自転車で配達し、飲み終わったボトルを回収しています。地球環境に配慮しながら、醸造場直送のフレッシュな生ビールを楽しめるのです」

「ドラフト・ドロップ」が、英『マリ・クレール』主催の「サステナビリティ大賞」で、2022年「ベスト・サステナブル・ドリンク・サブスクリプション・ブランド」に選ばれたのも、頷ける話だ。

(写真トップ)サブスクリプションは、毎週・隔週・毎月など、配達の頻度を選ぶことができ、毎回1リットル瓶2本(17ポンド)が玄関先に配達される。配達は金曜日、配達料は1回ごとに3.99ポンド。


「ドラフト・ドロップ」創始者、トム&メル・ストラザーズ夫妻。Eコマースでクラフトビールを扱っていたメルさんと、サステナブルなライフスタイルをモットーとするトムさん。そんな2人の背景からブランド・コンセプトが生まれたという。


◎Draught Drop
配達料 3.99ポンド
https://draughtdrop.com

*1ポンド=161円(2022年8月時点)

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