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JOURNAL / 世界の食トレンド

元「パッサージュ53」佐藤伸一シェフが、パリ16区で再始動!

France [Paris]

2023.10.19

元「パッサージュ53」佐藤伸一シェフが、パリ16区で再始動!

text by Sakurako Uozumi / photograph by Bungo Kimura(portrait)
(写真トップ)佐藤伸一シェフ。「これまで自分のパッションや夢のために生きてきました。僕は古い職人気質なので、自分が納得する、突き詰めたものを出して勝負したい。狙っているのは究極の“おいしさ”です」

佐藤伸一氏率いるレストラン「パッサージュ53」が突然の幕引きをしたのは、2019年1月。日本人として初の二ツ星を獲得した佐藤シェフは、「進化するためには環境と場所を変えなければ」とジレンマを抱えながら、約10年続けた店を閉めた。ほどなくして新型コロナウイルスが蔓延し、ロックダウンが施行される前日に帰国。一度ゼロの状態に戻ろうと半年間、料理をやめた。その後は日本全国をひたすら食べ歩きしながら、各地でイベントを行い、一方で日仏間を往復して2年かけて待望の新店舗を見つけた。

店舗は師のパスカル・バルボの「アストランス」と同じ、パリ16区・ロンシャン通りにある。地上階は総面積240㎡の広々とした空間。隈研吾氏による内装は白をベースに天然の木を配した、ナチュラルで柔らかいピュアな雰囲気。“白”を意味する店名「ブラン(BLANC)」にピッタリだ。

(写真)隈研吾氏による内装は、白と木の色が基調になっていて、柔らかく無垢な空気感。日本的な「自然」も感じられる。入口の横には個室があり、バーカウンターを抜けて、メインホールに進む。メインダイニングの壁は反響音を遮断するためTexaa社から特別な素材を配置、床はオニキスの天然石だ。

(写真)隈研吾氏による内装は、白と木の色が基調になっていて、柔らかく無垢な空気感。日本的な「自然」も感じられる。入口の横には個室があり、バーカウンターを抜けて、メインホールに進む。メインダイニングの壁は反響音を遮断するためTexaa社から特別な素材を配置、床はオニキスの天然石だ。

「料理はフランス食材を使って、日本的な、一切のムダを削ぎ落としたピュアで繊細な味わいを追求します。5年の充電期間で経験も増えたので、同じものを作っていても、決して同じ料理ではありません。“進化”と“深化”をしています。誰からも心から“おいしい”と言ってもらえる店を目指します」

厨房には減圧蒸留器や遠心分離機など最新の設備を備えた。佐藤シェフ特有の繊細な味覚をベースに、現代の技術がどのようなガストロノミーに昇華されていくのか。カムバックを果たした佐藤シェフの動向はフランス料理界の注目の的だ。

(写真)「牡蠣のアイスクリームとソローニュ産キャビア」。新店では充実したワインリストはもちろんのこと、300種類に及ぶリカー、様々なお茶を取り揃えた。

(写真)生牡蠣、濃縮ミルク、ウイスキーを凍らせてアイスクリーム状にし、キャビアにのせた一品。キャビアは「ラ・メゾン・ノルディック」のソローニュ産キャビアを、ウイスキーはスコットランド南西のアイラ島に蒸留所を構えるシングルモルトウイスキー「ラフロイグ」を使用。

(写真)プレ・ジョーヌ(トウモロコシで育った黄色い身の若鶏)とホロホロ鳥を丸ごと鍋に入れ、36カ月のパルマ産生ハムを加えて、オーブンでじっくり水煮したコンソメスープ。スープの中にはジロール茸と砕いたヘーゼルナッツを詰めたラビオリが浮かぶ。「クリアで品がよく軽く、日本の出汁のようなしみじみとしたおいしさです。シンプルですが味わい深い一皿です」

(写真)プレ・ジョーヌ(トウモロコシで育った黄色い身の若鶏)とホロホロ鳥を丸ごと鍋に入れ、36カ月のパルマ産生ハムを加えて、オーブンでじっくり水煮したコンソメスープ。スープの中にはジロール茸と砕いたヘーゼルナッツを詰めたラビオリが浮かぶ。「クリアで品がよく軽く、日本の出汁のようなしみじみとしたおいしさです。シンプルですが味わい深い一皿です」



◎Blanc
52 rue du longchamps 75116 Paris
12:00〜13:00LO、19:30〜20:30LO
日曜、月曜休
ランチ、ディナー共におまかせコース260ユーロ/360ユーロ
https://blanc-paris.com

*1ユーロ=157円(2023年9月時点)

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