2025年の食トレンドを体現。モンマルトル発、食とアートが融合する話題のビストロ
France [Paris]
2025.04.17

text by Sakurako Uozumi
ボリュームたっぷりのビストロ「ラルマナック・モンマルトル」。2025年冬のランチメニューより、前菜は「ブレッドのヴルーテとゴマを効かせたガーリッククリームのせ」または「パルメザンクリームにポーチドエッグとベーコン&クルトン」、メインは「鮭とフレゴラサルダ」または「ラムステーキと根菜」、デザートは「ライスプディング」か「マンゴームース」。シンプルながらも、新鮮な食材を活かした丁寧な一皿が並ぶ。photo by Lapuerta On The Road
2025年、レストラン予約サイト「The Fork」が予測する「食のトレンド」のひとつに、「メニューの選択肢を絞り、ボリュームたっぷりの料理を良心的な価格で提供するビストロ」を挙げた。その代表的な存在ともいえるのが、モンマルトルの丘の麓に佇む「ラルマナック・モンマルトル(L’ Almanach Montmartre)」だ。エネルギーや原材料の価格高騰が外食産業を直撃する中、同店では手頃な価格で、今のパリの空気を映し出すフランス料理が楽しめる。
ランチメニューは、前菜+メインまたはメイン+デザートが20ユーロ、前菜+メイン+デザートが24ユーロ(それぞれ2種類から選べる)と、パリでは破格の設定だ。オーナーシェフのレオ・ジョルジは、フランス料理のベースを守りつつ、各国のエッセンスを巧みに融合させたモダンな料理を創り出している。

しかし、ラルマナック・モンマルトルは、単なるビストロではない。数カ月ごとにアーティストの作品を展示するギャラリーとしての側面も持ち、料理とアートが融合する空間でもある。シェフのジョルジはアーティストとの対話を重ねながら、前菜・メイン・デザートを一品ずつ考案。例えば、春まで展示される造形作家ヤニック・ブルジェ(Janique Bourget)とのコラボレーションでは、フェンネルとグランマルニエを使った前菜、イカ墨と菊芋のニョッキ、ラプサンスーチョン風味のクレームブリュレといったメニューを提供する。


「料理を通してアーティストの感情やストーリーを表現するのが僕の役目。彼らの好きな食材や作品のコンセプト、地理的背景からインスピレーションを得ています」とジョルジは語る。
アーティスティックな空間でありながら、カジュアルで居心地のよい雰囲気も、この店の大きな魅力だ。モンマルトルの街並みに溶け込み、地元の人々はもちろん、観光客にも愛されるスポットとなっている。


◎L’ Almanach Montmartre
35 rue Ramey 75018 Paris
☎+33.(0)1.53.41.13.45
12:30~14:30、19:30~22:00(金曜、土曜19:00~22:30)
無休
アラカルトあり 前菜10〜15ユーロ、メイン28〜32ユーロ、デザート10〜13ユーロ
https://almanach-montmartre.fr/
*1ユーロ=161円(2025年4月時点)