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JOURNAL / 世界の食トレンド

Germany [Berlin] 食べて解決!ベルリンで繁殖するアメリカザリガニを星付きレストランへ

2022.10.13

text & photograph by Hideko Kawachi

ここ数年、ベルリンの公園で見かけるようになった外来種のアメリカザリガニ。ペットだったものが公園に捨てられたのがきっかけか、池や沼地で大量に繁殖して問題になっていたが、解決策として「おいしく食べる」ことが提案され、話題を呼んでいる。

アメリカザリガニは繁殖が早いだけでなく、在来種のヨーロッパザリガニを死なせる伝染病を媒介することもあって、EUでは数年前から養殖、販売や飼育も禁止されている。繁殖に歯止めをかけるため漁師たちに特別許可が与えられ、毎年数百キロ単位のアメリカザリガニが捕獲され、食用としても活用されたが、その多くが廃棄されていた。

「この北米原産のザリガニの問題は、天敵がなく、生態系を壊す可能性があるということ。でも人間がたくさん食べれば問題は解決するはず! そして貴重な食資源にもなる」と言うのは、ベルリンに拠点を置くスタートアップ「ホーリークラブ!(HOLYCRAB!)」だ。

ヨーロッパ第2の貿易港を持つ北ドイツの街ハンブルクで、貨物船で運ばれてきた上海蟹の増殖が問題になっていた時、大量の上海蟹から濃厚なだし汁(エッセンス)を作るというアイデアで好評を博した彼ら。2022年夏からは採れたての新鮮なアメリカザリガニを、食材としてミシュランの星付きレストランなどにも卸している。可食部は少なめだが、カニやロブスターにも似た繊細な味わいと、シェフたちからも太鼓判。アメリカザリガニが“ベルリン・ロブスター”として高級食材となる日も近いかも?

(写真トップ)市内各地のレストランでも“ベルリン・ロブスター”と称したザリガニ料理が見つかる。アメリカザリガニは漁師から直接購入したり、市場に出ていることもある。



◎HOLYCRAB!
https://holycrab.berlin/

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