HOME 〉

JOURNAL / 世界の食トレンド

Germany [Berlin]

肉に続きプラントベース(植物主体)の魚=ベジ・フィッシュが誕生!

2022.08.12

text by Hideko Kawachi / photographs by Kai Schwabe c/o WE LOVE artbuying

気候変動への影響が指摘されていることなどを背景に、ドイツでの食肉生産量は2017年から減少を続けている。ドイツ連邦統計局によれば、2021年は前年比で2.4%減少、特に豚肉の生産量は過去5年間で11%、牛肉は7.1%減少しているという*。逆に増加傾向にあるのが、プラントベースの肉代替品。2019年に比べてなんと生産量は62.2%もの増加だというからすごい。今やどこのスーパーマーケットでもコーナーがあるほどに、肉代替品は定着した感がある。

最近見かけるようになったのは、魚の代替品“ベジ・フィッシュ”だ。北ドイツに拠点を置く魚介類専門のファストフードチェーン「ノルトゼー(NORDSEE)」は、2021年からプラントベースの魚、Fisch(ドイツ語で魚)ならぬ「Visch」を打ち出して話題になっている。


手始めに同店の人気メニュー、「白身魚のフライのサンドイッチ」と「フィッシュ&チップス」、そして「スパイシーツナサンド」をベジ・フィッシュで展開。原材料には食品添加物や人工着色料を使わず、米粉と小麦粉、豆類から抽出したタンパク質を使って、3種類のメニューのためのベースを開発した。試食してみると淡白な味わいで、ほんのり海藻のような香りがする。食感はかなり柔らかく、魚のほろっと崩れる身とは少し違う。代替肉は肉の構造を模して食感を似せることができるが、魚は再現が難しいそうだ。

代替肉と比べて生産数はまだ少ないが、一部のスーパーマーケットチェーンではベジ版「白身魚のフライ」の冷凍食品などの販売も始まっている。今後消費者の心をつかめるかどうか? 気になるところだ。

(写真トップ)
ベジ・フィッシュ版「バックフィッシュ・バゲット(白身魚のフライのバゲットサンドイッチ)」(2.99ユーロ~)と「フィッシュ&チップス」(4.79ユーロ~)。魚製品と揚げ油を分けていないため、“ヴィーガン”ではなく“ベジタリアン”仕様となる。

(写真2枚目)
大豆タンパクを用いたヴィーガンのツナをスパイシーな唐辛子入りのチーズクリームで和え、雑穀入りのバゲットでサンドイッチした「スパイシーツナサンド」(5.79ユーロ〜)。



*1ユーロ=138円(2022年7月時点)

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。