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JOURNAL / 世界の食トレンド

Italy [Milano]

科学とファンタジーで作るピッツァがフィレンツェに本格上陸

2021.04.22

  • text & photograph by Manami Ikeda



  • 2021年2月、フィレンツェにオープンした「ラルゴノーヴェ(Largonove)」は従来のピッツェリアと趣を異にする。

    厨房の陣頭指揮を執るのは、自らを”リエヴィティスタ(発酵を操る者)”と称するガブリエレ・ダーニ(Gabriele Dani)氏。ナポリ・ピッツァは生地の水分量をギリギリまで上げ、ゆっくり発酵させることで軽く消化の良いピッツァとする傍ら、「ピッツァ・コッタ・アル・ヴァポーレ(蒸気焼成ピッツァ)」という先進的ピッツァをも提供する。

    灰分の多いタイプ2の中でもグルテンの少ない小麦粉と水を同割、自家培養発酵種で発酵させた生地を、120℃以上の過熱水蒸気のみで加熱した後、250℃のオーブンで1分ほど焼いて表面をカリッとさせる。見た目はフォカッチャだが、グルテンを抑えているため口に入れた瞬間の歯応えがごく軽く、簡単にほどける。

    焼き上がった生地は切り分けてから、あらかじめ調理をした具材、ムース、ソース、クリームなどを何層にも重ねて仕上げる。例えば、「カルボナーラCBT」(13ユーロ)は、カルボナーラに使う素材をCBT(低温真空調理)で個別に調理し、生地の上で重ね方、分量を調整していくという分解再構築方式。料理人のファンタジックなセンスと経験がピッツァの上に表れるというわけだ。

    「目指すのはピッツァ・サーナ(体に良いピッツァ)」というだけあって、食べ疲れず、食後感も軽い。満腹感を最上とするピッツァとは違う世界は、時代のニーズとともに今後も拡大していくだろう。

    (写真)ピッツァ・グルメ、ピッツァ・コンテンポラリー、また、切り分けたり小ポーションで提供されることからピッツァ・デグスタツィオーネとも呼ばれる。




    ◎Largonove
    Largo Pietro Annigoni, 9 Firenze
    ☎+39-055-245829
    12:00~18:00 無休
    https://largo9.it
    Instagram:@largonove


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