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JOURNAL / 世界の食トレンド

Italy [Strongoli]

南イタリアから世界へ。ガストロノミー界に突風を吹かせる女性シェフ

Jan 20, 2022

text by Mika Hisatani

イタリアの中でも特に経済的苦境にあり、ガストロノミー界の発展からも大きく取り残されている南イタリア、カラブリア州イオニア海岸地方。庶民的な食堂すらない過疎化した山里に、一ツ星レストラン「ダッティロ(Dattilo)」はある。洗練された空間と一流のサービス、何よりも革新的な料理に、訪れた人だれもが狐につままれたような感覚になる。

厨房を仕切るのは若手女性シェフ、カテリーナ・チェラウド(Caterina Ceraudo)34歳。『ミシュラン・イタリア2021』で初のグリーンスターを獲得。イタリアのフードジャーナリストによるレストランランキング「トップ・イタリー2022」では、クリエイティブ料理部門で3位、ホスピタリティ部門でグランプリのダブル受賞という快挙を果たし、イタリアガストロノミー界に突風を吹かせた。

コースメニューは、「サボテンの漬物」や「サルデッラのチャルダ」*、「ンドゥイヤとアーモンドのボットーニ(詰め物パスタ)」など、伝統食材を新しい食感と形で蘇らせたスタイルで、あまり知られていないカラブリアの地の豊かさに感嘆させられる。例えば「ンドゥイヤ」は、豚の内臓や頭など捨てる部分で作るサラミで、臭みを取り長期保存するために大量の唐辛子を加えた味が濃いものだが、カテリーナは現代向けに豚の赤身肉のみを使い、唐辛子の量も減らし、さらにサラミではなくクリーム状にしてパスタの具にする。

敷地内には1600年代のヴィッラの農園ホテルがあり、遠方からの客も時間を気にせずゆったりと食事ができる。「ここではスタッフ確保から資材仕入れまで都会とは比較にならない障壁があります。食堂経営をする方が楽ですが、私たちは因習に囚われずに、カラブリアのすばらしい食材や料理をもっとリベラルに発信したい」というカテリーナ。イタリアガストロノミー界の新たな広がりを感じさせる。

*稚魚を塩、唐辛子、フィノッキオの種を混ぜたものに漬けた「サルデッラ」を、ペースト状にして薄い膜状に成形した。

(写真)料理長のカテリーナ・チェラウド。トスカーナでワイン醸造学を学んだ後、アブルッツォ州のニコ・ロミートシェフの三ツ星「レアーレ(REALE)」など、イタリアの一流店で経験を積み、父親が経営するこのレストランに帰任した。一族が運営する100ヘクタールの農園では、86年から無農薬農法で野菜や果物を生産しており、オーガニックワインやオリーブオイルも「チェラウド」ブランドで展開し、国内外で高い評価を得ている。



◎Ristorante Dattilo
C.da Dattilo, Strongoli (kr) 88815 Italy
☎+39-962865613
https://dattilo.it
Instagram: @ristorantedattilo

1ユーロ=128円(2021年12月時点)

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