肉食文化のフィレンツェで気を吐く魚介ストリートフード屋台
Italy [Firenze]
2023.06.12
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text & photographs by Manami Ikeda
ビステッカにトリッパ、ランプレドット。地元の人も旅行者もフィレンツェは肉食文化の聖地と信じて疑わない。しかし、最近密かに人気を集めているのが魚介のストリートフードを提供する屋台「フラテッリ・ディ・マーレ(Fratelli di Mare)」だ。“海の兄妹”の名の通り、南イタリア・レッチェ県の海辺の街で漁業と魚介オステリアを営む家に生まれ育った3人の兄妹が始めた、肉の都への勇気ある挑戦である。
コロナ禍さなかの2022年にオープンし、その年末には食のメディア『ガンベロ・ロッソ』よりトスカーナ最高のストリートフード店に選ばれた。兄妹の挑戦は早くも実を結んだと言える。
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(写真)ペコリーノのコクとミントの爽やかさがポイントのジャガイモコロッケ。
メニューはフリット中心で、フィレンツェでも馴染みのあるバッカラ(塩蔵タラ)のフリットの他、タコとペペローニのポルペッテ(団子風フリット)、“昔ながらの”と名付けられたミントとペコリーノのジャガイモコロッケ、ナスとトマトとリコッタ・サラータの「ノルマ風」ポルペッテもある。これらをつまみに冷えた白ワインやロゼワインを屋台裏側のカウンターで楽しんだり、もっとしっかりお腹を満たしたいなら、タコのアラビアータ風煮込み、あるいはカラマリフリットを挟んだパニーノもいい。
観察しているとテイクアウトも多く、オフィスや自宅でランチ・軽食に便利に使っているようだ。メディチ家礼拝堂を眺めながら魚介スナックを味わう、肉文化の古都でのちょっと風変わりな食体験だ。
(写真トップ)石造の街に出現した“海色”の屋台。フリットの香ばしい匂いに惹きつけられる。
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(写真)「タコのパニーノ(pane e polipo)」(10ユーロ)は、ヴィンコットで甘味をつけたBBQマヨネーズ、野菜の酢漬け、フライドオニオンがアクセントに。
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◎Fratelli di Mare
Piazza Madonna degli Aldobrandini, Firenze
12:00〜20:30
日曜休
https://www.instagram.com/fratellidimarefirenze/
*1ユーロ=148円(2023年5月時点)