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JOURNAL / 世界の食トレンド

Norway [Oslo]

フィヨルド大国の海のお宝“海藻”を、もっと世界に売り込もう!

2022.07.11

text by Asaki Abumi / photograph by Norges Vel

ノルウェーは1700以上あるフィヨルドを含めると、海外線は総延長約10万キロで世界第2位の長さを誇る。世界第2位の海産物輸出国であり、養殖サーモンは有名だ。今この国で、「海藻は海産物として認められていない」ことがニュースになっている。

政府傘下のノルウェー水産物審議会(Norwegian seafood council)は国の海産物を国際市場にPRする重要な機関だが、魚類輸出法に海藻が含まれていない故に、同審議会は海藻のPRやマーケティングをすることができない。企業は海藻を商品として販売はできるが、審議会を通じてのメッセの参加、国際市場でのPR、勉強会などに参加できないのだ。

「これでは困る。せっかく世界でヒットするポテンシャルがあるのに、もったいない。国のサポートがないと小規模の市場を成長させることもできない」との市場の声に対して、ノルウェー漁業省は法を見直す動きを見せている。

特に北部では海藻ビジネスの可能性が大きく、業界を盛り上げるべくノルウェー・シーウィード協会(Norwegian Seaweed Association)も発足。同協会のマーリット・ギェルスタッド氏によると、「ノルウェーではバイキングや戦時下では海藻を食事としてきたが、不思議なことに、その存在が忘れられてしまった。今では少しずつ、スーパーでも関連商品が売られているが、魚類輸出法はアップデートされずにいた。国会で法改正が審議されることが決定したので、秋頃には可決されそう」と、状況の進展を喜んでいる。

環境保全のためにも食べる肉の量を減らす必要があると言われる中で、フィヨルド大国ノルウェーの海にはすばらしい食品ビジネスの可能性が眠っている。国が海の底にあるお宝に気づいて、海藻ビジネスに本腰を入れるのも、そう遠くはないのかもしれない。

(写真)ノルウェー西海岸、アスクヴォル自治体ヴァ―ルランドで行われているカラフトコンブの収穫。



◎Norwegian Seaweed Association (NSA)
https://www.norseaweed.no/

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