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JOURNAL / 世界の食トレンド

Peru [Lima]アンデス産紫トウモロコシから生まれた「ブラック・ウイスキー」が世界一に

2023.05.11

アンデス産紫トウモロコシから生まれた「ブラック・ウイスキー」が世界一に

text by Keiko Harada

世界で最も権威ある酒類コンペティションのひとつ、「ニューヨーク・ワールド・ワイン&スピリッツ・コンペティション(NYWSC)」。2022年度、ペルーの紫トウモロコシを使った「ブラック・ウイスキー・シングルバレル(Black Whiskey Single Barrel)」が、栄えあるダブルゴールドを獲得した。カテゴリー別でも、ウイスキー部門でも最優秀賞を得たこのウイスキーが今、注目を集めている。


アメリカ人のマイケル・クリラ氏とペルー人のダイアナ・ミロン氏は、どちらも自他ともに認めるスピリッツ愛飲家だ。インカ帝国以前からアンデス世界で愛されてきたトウモロコシの発酵酒「チチャ・デ・ホラ」にヒントを得た2人は、アンデス産の穀物を使った世界で唯一のウイスキーを作ろうと意気投合し、2016年にドン・マイケル社(Don Michael S.A.C.)を立ち上げた。

紫トウモロコシの英名ブラック・コーンにちなみ、彼らはこの新しい酒を「ブラック・ウイスキー」と命名。ペルー・アンデス北部のカハマルカ州で有機栽培された紫トウモロコシ「INIA 601」と良質な麦芽をベースに、アンデス山脈から湧き出る高純度の地下水を加え、アメリカから取り寄せたホワイトオーク樽で3年間熟成させるという。

アンデスの恵みに育まれた漆黒のウイスキーは、2020年「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」で銅メダルを獲得してデビュー。翌年には銀メダルを獲得して巷の評判を呼び、欧米各国にも輸出されるようになった。現在では、ブラック・ウイスキーを始めジンやウォッカなど6種類の蒸溜酒を生産している。

(写真トップ)ミロン氏が選び抜いた樽で仕込んだブラック・ウイスキー・シングルバレル(99.99ドル/750ml)。アルコール度数は56%と高めで、トップノートはスモーキーなローストコーンの中にわずかにバニラの香りが漂う。

(写真)ドン・マイケル社のCEOマイケル・クリラ氏(左)と、マイケル氏の妻でマスターソムリエとして品質管理を担うダイアナ・ミロン氏。

(写真)ドン・マイケル社のCEOマイケル・クリラ氏(左)と、マイケル氏の妻でマスターソムリエとして品質管理を担うダイアナ・ミロン氏。



◎Don Michael S.A.C.
Enrique Palacios 335, 4th Floor Miraflores Lima
☎+51-985-329-639
https://donmichael.pe

1ドル=約134円(2023年4月時点)

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