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JOURNAL / 世界の食トレンド

Singapore [Singapore]

ダイバーシティの土地を選び、 挑戦し続ける日本人シェフが目指すこと。

2017.06.19

Singapore [Singapore]

ダイバーシティの土地を選び、
挑戦し続ける日本人シェフが目指すこと。

Jun. 19, 2017

text by Mami Miyake



レストランの開店ラッシュが凄まじく、食通たちの舌も視点も加速度を増して厳しくなっているシンガポールの飲食業界。
そんなシンガポールを自身の活躍の場として選び、挑戦し続ける1人の日本人料理人がいます。

異国の地で独立を果たした中原勢太シェフは、日本人として生まれ、アジア人としてシンガポールで育ち、料理人としてイタリアで学んできた自分だからこそできることが、ここシンガポールにはあると確信し、Tokyo Italian(日本の四季を食材を通して感じてもらう)をコンセプトにterra Tokyo Italianを2015年末に立ち上げました。
店舗オープン半年後にはミシュラン1つ星を獲得。イタリアンのジャンルではアジア初の快挙を成し遂げた日本人シェフのレストランとして、シンガポール内外から注目を浴びています。



先日、勢太シェフ同様、シンガポールを挑戦の場として選びスペイン料理のレストランOLA Cocina Del Marで活躍するペルー人シェフDaniel Chavezとのコラボレーション“terratoria OLA”が開催されました。
互いに刺激を与え合い、信頼を寄せ合う二人が目指したのは、「異国の土地で、母国の料理とは異なるフィールドで勝負している自分たちの料理を楽しんでもらいたい」というもの。
日本人なのにイタリアン、ペルー人なのにスパニッシュ料理。
このチャレンジは次に続くジェネレーションに対して、新たな可能性と希望を提示するものだと考えたのです。



二人のコラボレーションを体験したい食べ手が殺到し、予約開始から2時間で130席が満席。スタンディングブッフェというユニークなスタイルのイベントに来場したゲストとサービスをするスタッフ側との一体感が感じられるエキサイティングな夜となりました。





“terratoria OLA”で提供された勢太シェフによる料理の数々。

「シンガポールはまさに色々なカルチャーや宗教が混ざり合うダイバーシティ。この国は、人種を超えて、いいものに対してきちんと評価してくれる土壌があり、料理人としてはありがたい場所です。これからの日本の料理界でも、もっとインターナショナルな人たちが必要となってくるはず。」と、勢太シェフは語ります。

勢いのあるシンガポールで獲得したミシュランの星は、「世界への招待状であり、その招待状を上手に活用し成功事例をこれからも作っていきたい」と高みを目指す彼のもう一つの目標は、「アジアに進出したい料理人や飲食業に携わる素晴らしい人材のための良い環境を作っていく」というもの。
「言葉はもちろん文化や食材、すべての環境が異なる海外で、誰もがチャンスを得られるように」と願っているのだそうです。

  世界から注目されるシンガポールは、日本人シェフが日本人という枠組みにとらわれず、世界に通用するシェフとして活躍できる夢溢れる場所。シンガポールを舞台に、これからどんな人材が世に送り出されるのか、目が離せません。


Terra Tokyo Italian
54 Tras Street, Singapore 078993, Singapore
+65 6221 5159
http://www.terraseita.com/

中原勢太シェフ率いるterra Tokyo Italianは、海外で挑戦してみたいというシェフやサービススタッフを募集しています。詳しくはコチラまで。



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