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JOURNAL / 世界の食トレンド

Sweden [Stockholm]

スウェーデン初 国産豆類から生まれた代替挽き肉

2021.10.21

Sweden [Stockholm] スウェーデン初 国産豆類から生まれた代替挽き肉

text by Sakiko Jin

近年、次々に登場する代替肉商品には、目を見張るものがある。そんな中スウェーデン初、国産マメ科植物から作られる代替挽き肉「スヴェンスクオードラド・フェッシュ(Svenskodlad färs=スウェーデン産のそぼろの意)」が注目を浴びている。

アックスファウンデーション(Axfoundation)は持続可能な社会を目指し、様々なプログラムや研究・開発をサポートしている非営利団体。プログラムの一つ「未来の食」では、肉に代わるタンパク質の摂取を、いかに水資源など地球のリソースを壊さず、持続可能な農産物で実現できないかと談義された。

「スウェーデンで最も食される挽き肉に代わる選択肢はないだろうか?」の問いから、代替挽き肉の素材になるタンパク質を探し、研究と開発を重ねた結果、“北欧の大豆”とも呼ばれる「スイートルピナス」の他、「灰色エンドウマメ」「ソラマメ」の3種が導き出された。

これらの豆は十分なタンパク質を含んでいるが、挽き肉加工品に必要なつなぎに代わる要素が足りなかった。さらなる研究の結果、なたね油を圧搾した後に残るペースト状の油かすを加えることで、バラバラとしたそぼろ状だけでなく、挽き肉加工品に必要なまとまり感を出すことができた。

国産豆から作る代替挽き肉は研究プログラムから独り立ちし、「フェッシュオードラルナ(Färsodlarna=そぼろ栽培家)」が完成商品を販売開始。現在は国内の大手スーパーの一つ「ヘムシュープ(Hemköp)」で購入が可能だ。また学校やホテル、レストランなどでの試作も重ね、代替挽き肉のレシピも発表するなど、未来食に向けて確かな手応えがうかがえる。

(写真)従来の大豆ミートほど豆っぽさがなく、粗挽きでクリスピーな面白い食感。無味に近いのでソースや調理で味の変化がつけられる。「SVENSK-ODLADFAR ORIGINAL」55スウェーデンクローナ/400g。



◎Färsodlarna
https://farsodlarna.se

*1スウェーデンクローナ=約12.8円(2021年9月時点)

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