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JOURNAL / 世界の食トレンド

Sweden [Stockholm]

混獲で得たグリーンリストの魚で地産地消製品を

Dec 16, 2021

text by Sakiko Jin

世界自然保護基金(WWF)によると、スウェーデンで食されている魚の70%は主にノルウェー、デンマーク、中国からの輸入だという。学校給食や老人ホームなどの大きな公共機関では、限られた予算内で必要量を確保し、かつ地元の魚で賄うというのはかなり難しい。そこでストックホルム行政委員会は、非営利団体アックスファウンデーション(Axfoundation)に掛け合い、レスースフィスク(Resursfisk=魚資源)・プロジェクトが始まった。最終目標は、地産漁業で混獲してしまった魚を使い、食製品を作ること。さらにその味を、タラのように長年食されてきた絶滅危惧種の魚に劣らないほど、おいしいものにすることだ。

2019年から始まり、多数の共同パートナーの助力を得ること2年。淡水魚の永続性(捕獲しても数量が減少しないこと)、捕獲の仕方、さらにその毒性を計測するなど研究を重ねた。その上で、物流に負荷がかからず、加工食品への可能性があるブラクセン(Braxen)が筆頭に挙がった。

ブラクセンはコイ科の淡水魚で、2020年内はWWFでグリーンリスト(良い選択)*に挙がっており、国内3大湖である、ヴェーネルン(Vänern)湖とメーラレン(Mälaren)湖で獲れる。これまでは同湖で行われてきたパイクパーチ漁で混獲されていたのだが、売り物にならず湖に戻していた。ブラクセンも活用することで地元の小さな漁業に活性化を促すのだ。

学校やレストランで試作をする一方で、どんな商品が求められているか調査した結果、ブラクセンをすり身にした製品が完成。現在はレストランでフィッシュバーガーとして販売されている。ブラクセンの成功を元にレスースフィスク・プロジェクトはまだ続いており、第2弾も目が離せない。

*WWFスウェーデンによる環境に優しいシーフード購入ガイドより(スウェーデン語)
https://fiskguiden.wwf.se/
https://fiskguiden.wwf.se/blog/fiskar/torsk/

(キャプション)コイ科のブラクセンは、骨のあまりの多さに食用魚にはほど遠い存在だった。専用の機械を導入することで、骨を取り除いてすり身化が実現した。



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