HOME 〉

JOURNAL / 世界の食トレンド

Sweden [Stockholm]パッケージの印象操作を告発!消費者が選ぶ「食品詐欺大賞」

2023.04.17

パッケージの印象操作を告発!消費者が選ぶ「食品詐欺大賞」

text by Sakiko Jin

「エクタ・ヴァーラ(Äkta Vara=本物)」は、2015年に誕生した“正直な食品とその品質の向上を求める”非営利消費者団体だ。「環境に優しい」とか「手作りの家庭の味」といった言葉はパッケージや店頭でよく見かけるが、実際には工場で機械によって作られていたり、添加物まみれだったりする食品の在り方を問いただしている。


主な活動は、ホームページやSNSにニュースやブログを投稿したり、「エクタ・ヴァーラ印」と称して、無添加で主原料が素材そのものである(たとえばソーセージなら肉が、アイスクリームなら牛乳や生クリームが主原料である)製品をリストアップし、公開している。

活動の中の一つに、パッケージと中身が乖離する食品に授ける「今年の食品詐欺大賞(Årets Matbluff)」の発表がある。

ホームページで1年を通して一般消費者から候補製品を募り、翌年の1月17~23日に候補製品全てを対象に投票を行う。投票結果と審査員の審査によりファイナリストが挙げられ、さらに大賞が発表される。

不名誉にも2022年の食品詐欺大賞に輝いたのは、大手乳製品会社GBのアイスクリーム「Big Pack」。全1万8千票の過半数を獲得し、2位以下に大差をつけた。受賞の理由は、レシピ変更後、主原料を乳製品から水と大豆プロテインに代替したにも関わらず、パッケージには「以前より環境負荷が低い」としか書かれていなかった。味が落ちたことも消費者の反感を買った。

問題がある商品に不名誉な賞を授けるユーモアが功を奏してか、これまでファイナリストの半数以上は、受賞発表後、パッケージや原材料表記を明瞭に書き直したり、イラストを主成分と合うように変更。消費者に対する“詐欺”を改訂し、真摯な態度を示している。

(写真トップ)2022年の食品詐欺大賞、GB社のBig Pack アイスクリーム。裏面の原材料表示をしっかり読まない限りは、これまでどおり乳製品が主原料であると誤解を招くパッケージで、消費者に不信感を与えた。

レッドオレンジジュース

(写真)これまでのファイナリスト製品の数々。「レッドオレンジジュース」が実際にはほとんどリンゴジュースだったり、リンゴンベリーのイラストが描かれたサイダーなのに、リンゴンベリーは香料だけで原料には使われていなかったり。写真の商品は食品詐欺賞発表の後で、パッケージやラベルを変えている。



◎ÄKTA VARA 
https://www.aktavara.org

料理通信メールマガジン(無料)に登録しませんか?

食のプロや愛好家が求める国内外の食の世界の動き、プロの名作レシピ、スペシャルなイベント情報などをお届けします。