マルディグラ 和知徹シェフの“スワップミート”で発見する
「アラスカ産シーフードの可能性」
2017.03.13
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photographs by Kouichi Takizawa
2月11日(祝・土)、東京・銀座「マルディグラ」において、和知徹シェフの料理を通じてアラスカ産シーフードの魅力に触れるMEETUPを開催しました。
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今回は、昨年9月にアラスカを旅した“肉シェフ”でお馴染の和知徹シェフが、通常は肉で作る定番メニューをアラスカ産シーフードに置き換えて再構築した「スワップミートレシピ」のデモンストレーションとミニランチを楽しみながら、21世紀型の取り組みを展開するアラスカ産シーフードについて学ぶMEETUPです。
▼サステイナブルの本場、アラスカでシーフードの新しい魅力に開眼!
~「マルディグラ」和知徹シェフのアラスカ訪問記~
https://r-tsushin.com/feature/movement/alaska_wachichef_report.html
当日は、雑誌『料理通信』、WEB『The Cuisine Press』読者の方の中から料理人、食品企業のメニュー開発者、マーケッターまで幅広い「食のプロ」がご参加くださいました。
日本から一番近い北米の州、アラスカ
まずは、アラスカシーフードマーケティング協会の佐々木慶子さんと古山友子さんによるアラスカ州のプレゼンテーションが行われました。
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「日本から一番近い北米の州がアラスカです」という解説から始まったアラスカの基礎知識を伝えるプレゼンテーションでは、有名なオーロラや氷河、野生生物の他に、300万もの河川、39の山脈など桁違いの豊かさをもつアラスカの大自然がスライドに映し出されます。
アンチエイジング効果もあるスーパーフード、サーモン
続くアラスカ産シーフードのプレゼンテーションでは、環境に配慮したサステイナブルな漁業や、日本の食文化とアラスカ産シーフードの深いつながりを示すエピソードが語られました。
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ヒレ魚の養殖が禁止されているアラスカでは、魚はすべて天然。自然の餌で育つ魚には過剰な脂がなく、味わいもピュア。身質にも張りがあり健康的です。
「近年、サーモンに含まれるアスタキサンチンはアンチエイジング効果が期待されるなど、スーパーフードとして欧米で注目を集めています」
といった最新のトピックをはじめ、アラスカ産シーフードが日本の練り製品や銀ダラの西京漬けなど加工を施した魚にも欠かせない存在であることが伝えられました。
「なかでも数の子の多くが、アラスカの海から来ています。お正月の需要が年々減っている分、今は通年で数の子を楽しむ活動にも力を入れています」
日本の食卓とのつながりに、参加者の皆さんは驚きの表情を見せながらも、アラスカとの浅からぬ関係に新しい気づきを得たようです。
1品目:スパイシーな銀ダラのフライイングフィッシュ
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いよいよ、和知シェフの調理デモンストレーションが始まります。
最初に紹介したのは、フライドチキンを銀ダラに置き換えた「フライイングフィッシュ」です。
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しっかりとした厚みのあるアラスカ産銀ダラを手にした和知シェフ。皮は外し、小骨は抜いておきます。
「この厚みと弾力なら、銀ダラをフライドチキン的に楽しむこともできると思いました」と和知シェフ。スパイスを最初にしっかりまぶすことで、さらに肉っぽい風味に近づけます。
「最後にくぐらせるバッター液は、洋食屋さんでよく使われる衣なんです」
と小麦粉をまぶした銀ダラをくぐらせて180℃の油へ。
「アラスカ産の銀ダラは身が厚いので、ゆっくり火を入れるのがポイントです。油から一度上げて、余熱を使って火を入れ、最後に強火でカリッと衣を揚げると失敗しにくい」
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揚げ上がった銀ダラはすぐに参加者の皆さんに回して、香りを確認。試食への期待が高まります。
揚げ上がりが近づくにつれ、スパイスの香りが会場に広がります。出来上がったばかりのフライイングフィッシュが参加者へ回されると、弾力を指で確かめながら、グッと鼻を近づけ、熱心に香りを記憶に刻んでいる様子が印象的でした。
2品目:「男のスモーキー・アラスカサーモンバーガー」
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2品目はアラスカ産紅鮭を使った「男のスモーキー・アラスカサーモンバーガー」が披露されました。
「アラスカ産のサーモンにはサシのような脂が入っていないので、身質もしっかり。ミンチにしても肉らしい力強さが出せます」。
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バターで下焼きしたあと、桜のチップで燻製し、間接的に火を入れます。こうすることで肉っぽさもアップ。
昨年9月にアラスカを訪れた和知シェフは「現地では、燻製がごく当たり前に生活に浸透していて、なくてはならないものだと実感」。そこで今回のレシピにも取り入れることにしたそうです。
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調理デモの後、質疑応答では燻製に関する質問が交わされました。
デモが終わった後、参加者から「サーモンの燻製には桜のチップの他に、おすすめのものはありますか?」との質問に、「ほうじ茶も実は合うんですよ」と和知シェフから意外な回答が。自身の著書で、すでにほうじ茶を使った燻製レシピを披露しているそうです。「ヒッコリー(クルミ科の広葉樹)のチップは香りが付きすぎるので、魚には強いかもしれません」。
いよいよミニランチタイムがスタート!
デモンストレーションの後は、いよいよ試食の、ミニランチタイムがスタート。スパークリングワインで乾杯後、前菜に「フライイングフィッシュ」、メインに「男のスモーキー・アラスカサーモンバーガー」が供されました。
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参加者の皆さんの表情から、味わいに満足している様子がうかがえます。
食のプロたちを刺激する
アラスカの取り組み
ランチの後半は、昨年、和知シェフが視察訪問したアラスカのオフショットをスライドで紹介しながらフリートークの時間に。
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和知シェフは、今回のスワップミートのレシピ考案とアラスカの旅での体験を通して、「アラスカのサステイナブルな考え方や実行力には、世界が見習うべき点が多々あると感じました」と今回の取り組みを総括。自然との共存なくして、より良い食環境を未来へ渡すことはできないことを肌で感じたと言います。
参加者の方々からは
「メニュー開発の仕事に従事しているので、魚メニューのバリエーションの一つとしてとても勉強になりました」
「肉で作るという概念をいったん外して、いろんなチャレンジをしてみたいと思いました」
「アラスカの資源保護の取り組みを、食に関する授業に取り入れてみたいと思った」
など、MEETUPで感じたことを、それぞれの仕事の中で活かそうと考える意欲的なコメントが数多く寄せられました。
自然と共存するサステイナブルな漁業を長年続けてきたアラスカに、ようやく時代が追いついた今。サステイナブルな食材の手本として、様々な食のジャンルから今後注目を集めていきそうです。
【アラスカシーフードに関するお問い合わせ】
アラスカシーフードマーケティング協会 日本事務所
☎ 03-3225-0089
http://japanese.alaskaseafood.org/