“食のプロ”のためのスペシャルティコーヒーセミナー
スペシャルティコーヒーと料理・スイーツの無限の可能性を見つける vol.2
2015.11.17
スペシャルティコーヒーの登場により、コーヒーは、産地や生産者の個性で語られるようになりました。品評会運営団体であるACE(Alliance for Coffee Excellence Inc.)と丸山珈琲の共同企画により開催されたイベントレポートを通して、スペシャルティコーヒーの今までとこれから、料理・スイーツとのマッチングによるコーヒーの興味深い世界をお伝えします。
コーヒーと相性のいい食材とは?
高品質な豆が増えたことで、コーヒーは、まるでワインのようにマリアージュを楽しめる飲み物として、関心が高まっています。 この会の趣旨でもある「コーヒーと食とのマッチング」。丸山珈琲の全面協力を得て、COEで入賞したスペシャルティコーヒーと食材とのマッチングを参加者に体験していただきました。 食材は、ドライフルーツ、チーズ、シャルキュトリー。いずれもワインなどのお酒に合う食材ですが、はたしてどんなコーヒーと合うのでしょうか。実際のマッチングをご覧いただきましょう。
まずはドライフルーツ。
まずは、「2015年コスタリカCOE1位フィンカ・レオンシオ」。キリッとした酸による、すっきりとした飲み口が特徴です。こちらに合わせるのは、マスカット。甘味が強くなく酸味のあるドライフルーツが好相性です。オレンジなど柑橘系のフルーツともバランスがいいので、スイーツのオランジェットなどと合わせてもおもしろいでしょう。
酸が高くトロピカルな「2014年コロンビア・サウスCOE2位 エル・カイロ」は、レッドメロンと。メロンの熟した甘味が、コーヒーに含まれるほのかな甘味と交わることで、互いに増幅します。ケーキに合うコーヒーを探す際、このように、きれいな酸を持った豆と合わせると、互いの長所を引き出し、マリアージュを楽しめるでしょう。ちなみにこの豆は品質が下がるとフルーティさが出ないので、注意が必要です。
「ブラジル・ナチュラルCOE2位シティオ・セントルジーニョ」は、熟したまろやかな酸と芳香な香りが特徴。同じくセントルジーニョで栽培されるプラムなど紫系のフルーツと相性がいいため、濃密な果汁を持つキスミッシュ(ウズベキスタンのレーズン)と合わせました。ナッツ香もあるため、ナッツ入りのチョコレートなどともバランスがとれます。
フルーツ系の酸や香りにも例えられるコーヒーは、ドライフルーツとは合わせやすい飲み物です。コーヒーから受けた印象を踏まえて、いろいろと試してみましょう。
次はチーズとシャルキュトリー。
「え、チーズや肉とコーヒーを合わせるの?」
会場の雰囲気も、最初はそんな感じでした。
でも、合わせてみると意外や意外、発見の連続でした。
チーズは、味もタイプも異なる3種類を用意。
ウォッシュタイプの「ガレ・ド・ラ・ロワール」は、ダブルクリームと呼ばれる、生クリームを添加する製法で作られたミルキーなチーズ。ブルンディ2種が持つ香ばしさと、鼻にパッと抜ける香りがクリーミーに中和され、ミルクコーヒーのようなまろやかな味わいに。こちらは会場でも、驚きの声があがっていました。
同じくブルンディに合わせたのは、青カビタイプの「フルム・ダンベール」。こちらは青カビの香りと、アフリカ系豆の複雑な野性味(苦味)が重なり、「ガレ・ド・ラ・ロワール」とは違った調和を見せてくれました。
セミハードタイプのミモレット(6カ月熟成)には、酸が主張せずクリーンな苦味が特徴の「2014年ルワンダCOE1位ルヴンブ」を。チーズもコーヒーも互いに丸くなる印象でした。
シャルキュトリー(肉)は、コッパ(肩ロースの生ハム)が登場。
「たとえばワインならボディのしっかりした赤を合わせることが多いように、酸味が強いだけの豆ではなく、ベースの甘味、苦味がしっかりありつつ、スパイスの香りや風味など複雑さを感じるコーヒーを合わせてみるといいでしょう」と、丸山氏。選んだ「2014年ブルンディCOE3位ムバンガ」は、肉に負けず、それでいて肉々しいスパイシーさとバランスが取りやすいと、好評でした。
飲食店では、チーズや肉はお酒と合わせる方が多い一方で、このような楽しみ方を提案できれば、お酒の飲めない方にも一味違った食事の味わい方を楽しんでいただける。そんなスペシャルティコーヒーの可能性を探るきっかけとなった、マッチングセミナーでした。
次は、今回のマッチングで活躍したフレンチプレスの抽出方法を紹介します。