DIYレシピ01
フライパンで作る自家製ベーコン
東京・新橋「マルディグラ」和知徹シェフ
2021.11.01
text by Michiko Watanabe / photographs by Tsunenori Yamashita
連載:DIYレシピ
塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。天日に干したり、発酵させたり、自然の力にゆだねるレシピは、人間本位ではない生き方を学ぶ処方箋。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。
教わるテクニック:肉の塩蔵、燻製
教えてくれたシェフ:東京・新橋「マルディグラ」和知徹さん
最小限の塩、コショウだけで肉の味を主役に
小ロットで気軽に作れるベーコンです。材料は豚肉、塩、コショウ、温燻用のチップだけ。お店では焼き塩を使っていますが、ない場合は、普通の食塩で十分。むしろ、さらさら感が扱いやすくていいくらい。作り方も簡単。3日間冷蔵庫で塩漬けした豚を、茹でては冷まし、を繰り返しながら、じんわり火を入れて、燻製を強めにかける。といっても短時間でスモークできる温燻です。燻製というと尻込みする人いるかもしれませんが、中華鍋でも普通の鍋でもフライパンでも可能。パンチェッタのような熟成タイプではないけれど、お肉の凝縮感がきっちりあって、深い味わいです。
水分を抜き、成分を凝縮させる「お肉のかつお節」
イメージは「お肉のかつお節」。肉は、時間が経過すると、やわらかくなると同時にたんぱく質が分解されて旨味が増しますね。このベーコンも両面合わせて、たかだか10分程度ですが、スモークして水分が程よく抜けることで、成分が凝縮してナチュラルな旨味がアップします。スープや煮込みに加えれば、味出しになる。スモークした後、アルミ箔で包んで香りを吸着させ、しっとり仕上げるのもコツ。ハムのような質感でスライスするだけでもおいしい。おつまみになります。今回は、ベーコンのパンチに拮抗できる雑穀や麦が入ったパンと一緒に、イングリッシュブレックファースト風にしてみました。ベーコンは分厚くカットしてステーキに。朝食というよりブランチや早い夕食向けですね。ワインが合いますよ。
自家製ベーコンの極意
1 茹でる時は肉をグラグラと煮立たせず、沸いたらすぐ火を止める!
2 燻製の強さはお好みで。ここでオリジナルの味へ。
3 仕上げにアルミ箔で包むとしっとり、ハムのような仕上がりに。
[材料]
豚バラ肉・・・1kg
塩・・・16g
黒コショウ・・・大さじ1
桜のチップ・・・カップ2
[1] 3日間塩漬け
バラ肉の表面に塩とコショウを振り、ラップで包んで冷蔵庫に3日間置く。左が3日後の肉。色が深くなる。
[2] 落とし蓋はキッチンペーパー
鍋に肉を入れ、かぶるくらいの水を加えたら、肉が浮いてこないようキッチンペーパーで覆う。中火にかける。
[3] 沸いたら火を止める、を3回繰り返す
沸いたら火を止め、冷めるまで待つ。1時間の間にこれを3回繰り返し、バラ肉にじんわりと火を入れる。
[4] 茹で上がりの状態
茹で上がった肉は、皿に引き上げておく。
[5] 煙が立ってから肉を置く
フライパンにチップを入れ、網を置いて強火にかける。煙が立ったら、脂を下にして置き、蓋をして弱火にする。
[6] 片面を5分燻す
片面をまず5 分燻す。煙が多少漏れるのはよい。
[7] 5分後の状態
蓋をあけると肉の表面が少し飴色に変わっている。
[8] 片面をもう5分燻す
肉を裏返す。下の面はまだ白っぽい。蓋をしてもう片面を5分燻す。
[9] アルミ箔に包んでしっとり冷ます
燻し終えると脂も飴色に。アルミ箔でバラ肉を包む。燻製の香りが肉に沈着し、しっとりとした状態で冷める。
制作日数:3日間、保存期間:冷蔵庫で1週間~10日、冷凍庫で2カ月
◎Mardi Gras
東京都中央区銀座8-6−19 B1F
☎ 03-5568-0222
12:00〜13:30LO
17:00~20:00LO
日曜 休
Instagram:@ mardi_gras_official_2
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