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RECIPE

DIYレシピ07

10日で食べごろに! 旬のソラ豆で作る自家製豆板醤

東京・西荻窪「仙ノ孫」早田哲也シェフ

May 02, 2022

photographs by Kouichi Takizawa

塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。天日に干したり、発酵させたり、自然の力にゆだねるレシピは、人間本位ではない生き方を学ぶ処方箋。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。

教わるテクニック:発酵
教えてくれたシェフ:東京・西荻窪「仙ノ孫」早田哲也(そうだてつや)さん

四川料理「中国料理仙ノ孫」オーナーシェフ。1979年生まれ、大分県出身。中村調理製菓専門学校を卒業後、「龍の子」、「ホテル雅叙園東京」の「旬遊記」、上海のホテルなどで研鑽を積み、2009年現店開業。医食同源をモットーに、漢方薬や豆板醤、山椒油などの自家製調味料、大分の実家から届く旬の野菜を取り入れて自然な味わいを出す。「ミシュラン東京2022」でビブグルマン獲得。


自家発酵で旨味、香りが驚くほど豊かに

中国菜の中でも、四川料理は特に多彩な調味料使いが特徴です。調味料類は味の要になるため、自家製する店が多くなってきました。僕も、可能な限り香味油や酒醸(チュニャン)、醤など手作りしています。豆板醤もそのひとつですが、製法がなかなか入手できず苦労しました。現地の知人や先輩料理人などの助言を頼りに、数年前から手探りで挑戦中です。

豆板醤は、ソラ豆に麹と唐辛子などを加え、1年ほど発酵&熟成させて作ります。僕の店では、郫県(ピーシュン)から取り寄せたもの、一から手作りするもの、市販品を追熟させて作るものと数種類の豆板醤を常備し、料理によって使い分けています。

初めて試すなら、既存の豆板醤を元種に“ソラ豆麹”を加えて追熟させる方法をおすすめします。ソラ豆の香味や旨味、生きた麹のふくよかな甘味が加わって、うんと芳醇に。四川現地とは気候も麹の種類も違い、管理が難しいですが、元種が入ることで発酵も安定します。

一から作る場合、春に実家の畑でソラ豆がたくさん採れる時期に、天日で干して保存しておき、夏、生唐辛子が採れた時に(唐辛子を塩漬けにしてから)仕込んでいます。ソラ豆の香りがとても強く、普段慣れているのとはまた違う味です。

豆板醤は、お家中華でも使う頻度の高い調味料。これがランクアップすれば、料理の仕上がりもうんとクリアになりますよ。

料理の展開例:キャベツと春雨の四川土鍋煮込み・・・香ばしく炒めた挽き肉に豆板醤を絡めてさらに炒め、辛味と香りを引き出す。旨味をたっぷり含んだ春雨が、止まらない味。八角の香りでさらに奥行きアップ。◆調味料として料理全般に(そのままつけだれに。炒め物、煮物、揚げ物など加熱して。下味に揉み込んで)。

自家製豆板醤の極意


1 常温で寝かせる。1日1度はかき混ぜる。
2 元種として味噌や豆板醤を加え、健全な発酵を促す。
3 生唐辛子塩漬け+乾燥ソラ豆で一から手作りも可能。

【材料】(作りやすい分量)

ソラ豆(さやから出す)・・・84g
塩・・・1g 
糀・・・5g
豆板醤(既成品)・・・100g

[1]薄皮をむく


ソラ豆はさやから出し、薄皮をむく。口当たりや香りがよくなる。

[2] 蒸す

蒸し器に入れ、強火で5分蒸す。
POINT:ソラ豆は茹でずに蒸すと、味や香りが逃げず、濃厚な味わいにできる。

[3]蒸し上がり


翡翠色が濃くなったら蒸し上がり。温かいうちに次の作業へ。

[4]潰す

ソラ豆が温かいうちに包丁で粗く刻み、さらに包丁の腹で押し伸ばすように潰し、滑らかにする。

[5]塩と糀を加え混ぜる

潰したソラ豆のペーストを、ボウルなどに移し、塩と、麹をほぐしながら加える。

[6]1日1~ 2回かき混ぜる

塩、麹、5をよく混ぜ合わせる。ラップをかけて、1日1~2回混ぜながら、常温で3日ほど置く。

[7]一次発酵終了の状態

常温で3日程経った状態。全体に艶が出て、水分が上がり、香りが立ってくる。

[8]元種の豆板醤と混ぜる

を、元種の豆板醤に加え、よく混ぜ合わせ、二次発酵を促す。

[9]7~10日ほどおき、二次発酵

1日1~2回かき混ぜながら、常温で二次発酵。10日以降が食べごろ。


◆制作日数:2~3日 ◆食べごろ:10日前後 ◆保存方法:常温(時折かき混ぜる)

上級者編:
完全に自家製するには乾燥ソラ豆を水で戻して蒸す。その1割の量の糀で手順7まで同様に発酵させ、塩で3日漬けた生唐辛子適量を加え、3カ月常温発酵後、挽いてペースト状にする。

豆板醤 展開例
そのままでもちろん、加熱すれば香りと辛味が引き立つ。おいしさのコツは酢。一緒に使うことで、コクとキレがアップ。

豆板魚(トウバンユイ)・・・豆板醤をたっぷり使ったタレで揚げ魚を煮込んだ、四川の代表料理。魚の臭みを抜き、旨辛い味わいに。

苦瓜とキュウリの豆板醤和え・・・豆板醤に、黒酢とゴマ油を加えて和えダレに。すっきりとコク深い辛味が食欲を増進。ピーナッツが香ばしいアクセント。

スナップエンドウと焼き筍の辛味だれ添え・・・たっぷりの油で、甜面醤と豆板醤を1対1でじっくり炒めて作る特製醤。醤の相乗効果で複雑な旨味。飽きのこない万能ダレ。

トマトと卵の辛味炒め・・・お家おかずの定番、トマトと卵の炒めものに、豆板醤を仕上げに加え、ご飯が進む味わいに。新タマネギの甘味が全体をまろやかに。


◎中国料理 仙ノ孫
東京都杉並区西荻北4-4-2
☎03-3390-4808
12:00~14:00LO
18:00~20:30LO
月曜、火曜休
JR西荻窪駅より徒歩5分
http://www.sennomago.com/

※新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。

(雑誌『料理通信』2015年7月号掲載)

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