香ばしくスパイシー。フェーズフリーなつまみ「ビーフジャーキー」
【DIYレシピ】「エル パト」大東清さん
2025.03.03
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photographs by Hide Urabe
連載:DIYレシピ
塩蔵、乾燥、発酵・・・調理メソッド&テクニックを身に着けて、普段買っている食べ物を一から作ってみると、自分で味を作る喜びや安心感を得られます。シンプルな材料と道具で作れる自家製アイテムをシェフに教わります。今回は、ビールのアテにはもちろん、保存が利くので災害時にも食材として重宝する「ビーフジャーキー」です。おいしく、安全に長くもたせる知恵が詰まっています。
目次
教えてくれた人:東京・高円寺「エル パト」大東清さん
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高校留学を機に米国へ移住。大学在学時に料理に目覚め、「アレックス」「パティーナ」などで修業を積み、帰国。2009年に現店をオープン。
シンプルなレシピで飽きのこない味に
「エル パト」はオーナーシェフ厳選のワインと、ワインに合うアメリカ料理を楽しんでいただけるコンテンポラリーなアメリカンレストランです。米国での修業先「アレックス」が自家製に力を入れていたので、僕もできる限り自家製しています。
ビーフジャーキーは定番人気。いろいろレシピを試しましたが、今は醤油とリーぺリンソースを主体に、三温糖、コショウ、塩と最少限の材料でキリッと仕上げます。削ぎ落としたレシピなので、飽きのこない味。仕上がりのブレも少なく、安定して好評いただいています。
肉の脂は酸化の原因になるので赤身の多い部位を選び、脂身はトリミングを徹底して。繊維に沿って、カツラ剥きのように削いでいくのですが、肉を半冷凍しておくと扱いやすいですよ。
酒肴の印象が強いけれど、元は開拓民の日々の糧を支えた保存食。湯に戻してスープや煮込みの具やだしに使ったりしたようですね。
安全に長くもつよう、50℃の天火で13時間以上、しっかり乾かします。僕はクッカーを使いますが、100℃以下に下げられないオーブンの場合、ファンだけを回す形でも出来ます。
「ビーフジャーキー」材料と作り方
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[材料]
牛赤身肉(シキンボウ)・・・1㎏
醤油・・・20g
リーぺリンソース・・・20g
塩・・・20g
ブラックペッパー・・・4g
三温糖・・・20g
[作り方]
[1]牛肉をそぎ切りにする
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牛肉の脂身がついていたら取り除く。まな板に押し付けるようにし、カツラ剥きの要領で底面に包丁を入れ、2~3mm厚さに削いでいく(予め半冷凍にしておくと作業しやすい)。【POINT】肉の脂身は劣化臭の元。しっかり取り除いて!
[2]調味料を計って加える
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削いだ肉をボウルに入れ、調味料類をすべて加える。調味料類は、肉の重量にきちんと合わせて加えること。【POINT】塩分濃度は仕上がりを左右するため、正確に計量する。
[3]調味料を肉にもみ込む
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肉をボウルの側面に押し付けるようにしながら、調味料類を肉に均一にまぶすよう、しっかりもみ込んでいく。
[4]一晩寝かせる
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ジッパー付き保存袋などに入れて密封し、冷蔵庫で一晩寝かせる。
[5]厚みを均一にする
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袋から取り出し、厚みのある部分は包丁で押し広げるなど均一にならし、網にのせる。
[6]乾燥焼き(13時間)
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クッカー、もしくは50℃前後のコンベクションオーブンで13時間乾燥焼きする。
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しっかり乾燥させた、甘さ控えめで香ばしい味わい。ブラックペッパーがスパイシーなアクセントに。「エル パト」ではビンにラフに詰めて保存。オーダー後食べやすい大きさにカットして提供している。常温で2週間ほど日持ちする。
東京・高円寺「エル パト」の店舗情報
◎エル パト
東京都杉並区高円寺北2-22-10
☎03-6795-7888
水曜~日曜18:30~24:00LO
月曜、火曜休
JR高円寺駅より徒歩4分
※営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。事前に店舗に確認してください。
(雑誌『料理通信』2017年5月号掲載)
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